なぜ私はオンラインサロン勉強会を始めたのか|Web発注者と担当者が知っておくべき視点とは

なぜWEBマーケティング勉強会をはじめたのか?

「お絵かきLP」に終止符を。WEB発注者と担当者が今、学ぶべきこととは?

成果が出ないランディングページ、プロに頼んだはずなのに効果ゼロ——そんな苦い経験から始まったのが、今回のオンラインサロン勉強会です。背景には、WEB制作を外注した際の大きなギャップがありました。デザインは綺麗でも、問い合わせも売上も増えない。その原因は「お絵かき遊び」と揶揄されるような、戦略も設計もない表層的なクリエイティブにありました。 PhotoshopやAIなどツールの進化により、誰でも“作れる”時代になった今、本質的なスキルを持つ人材はむしろ減少。言われたことをこなすだけの“オペレーター化”が進む中で、真に必要なのは、課題やターゲット、仮説を見極めて形にできる「エキスパート」の存在です。

この勉強会では、発注者・担当者が最低限持つべき視点——例えば、言語力から相手の理解力を見抜く方法、成果に直結する構成やCTAの考え方、内製化の進め方などを共有します。今後ますます加速する「インハウス化」「内製化」の流れの中で、自社にマーケティングの視点を持つ人材を育てることが、結果として最大の“成果”に繋がるのです。

外注したのに成果が出なかった。あるLP制作の苦い経験

ナミナミ

今日はよろしくお願いします。伊藤さんがオンラインサロン勉強会を始められた背景について、詳しくお聞かせください。

伊藤伊藤

私がなぜこのオンラインサロン勉強会を始めようと思ったかということについて、今日は話していきたいと思います。

伊藤伊藤

内容としては、マーケティングの話でもあり、人材育成の話でもあると思います。始めようと思ったきっかけは、いろんなやりとりをしていて、この担当者、こんなことも知らないんだなということに気づきがあったわけですね。

ナミナミ

なるほど、現場でのリアルな体験がきっかけだったんですね。

伊藤伊藤

なので、誰向けの話かというと、WEBに関わる職種の方向けでもあるし、もう一つは、外注ですね。WEB仕事を発注するときに確認しておいたほうがいいかなと思ったことがあるので、外注する依頼者の方向けの内容かなと思います。

ナミナミ

具体的にはどんな体験があったんですか?

伊藤伊藤

1つがエピソードとして、ランディングページを作りましょうという話にあるクライアントさんとなりました。社内にノウハウがないので、最初のLPは外注をプロの方に作っていただきましょうみたいな話になったんですね。

伊藤伊藤

やり取りをして2ヶ月ぐらい制作期間がかかったんですね。もともとその業者を紹介した方も非常にいい出来栄えだということで聞いていました。しかし実際ですね、そのLPを見たときにちょっと愕然としたんですね。

ナミナミ

え、2ヶ月かけて、しかも評判の良い業者さんだったのに愕然とした?

伊藤伊藤

言ったら悪いですけど、お絵かき遊びをしている状況でした。当然ですね、そのLPを運用してもですね、全く問い合わせも受注もなかったという経緯があったんですね。

ナミナミ

お絵かき遊び…それは厳しいですね。

伊藤伊藤

お金を出せば、しかも高いお金を出せばですね、プロの方がしっかりやってくれるというふうに思いがちなんですけれども、実はそうではないということですね。

ナミナミ

これは業界全体の問題でもあるんでしょうか?

伊藤伊藤

似たような話がありまして、大学でデザインを教えている専門家の方とお話をしたことがあります。その時にその方がおっしゃっていたのは、デザイナーを目指しているんだけど、デザイナーじゃない状況になっているということですね。

伊藤伊藤

つまりどういうことかというとですね、Photoshopとかイラストレーターみたいな非常に便利なツールが出てきたことは良いんですけれども、要は私デザイナーですって言っているのに、それは言われたことをやっているだけのオペレーターになってしまっているということですね。

ナミナミ

ツールが発達したことで逆に本質的なスキルが軽視されているということですか?

伊藤伊藤

つまり便利なツールができたことで、裾野は広がったんですけれども、実際そのデザイン的な内容をしっかり理解してデザインをしているかというと、そうでもないよねっていう話をその方としたわけです。実はこれ、デザインだけじゃなくてWEB業界全体に言えることかなというふうに考えています。

ナミナミ

では、本当に大切なスキルって何だと思われますか?

伊藤伊藤

担当者として大事なことは、やはりデザインそのものの力ももちろん重要なんですけれども、クライアントの話をよく聞くということですね。それからニーズをしっかり把握できるかっていうところ、それから問題点や仮説をしっかり把握できるかっていうところですね。

ナミナミ

先ほどの「お絵かき遊び」のLP、具体的にはどんな問題があったんですか?

伊藤伊藤

具体的にどんなお絵かき遊びだったかっていうところをお伝えするとですね、例えばファーストビューのデザインであったりとか、あるいはCTAの部分が非常に曖昧だし、一般的なセオリーと言われているものから大きく外れていました。

伊藤伊藤

ちょっとこれありえないなっていうぐらいひどかったですね。これがですね、1本数十万円でオファーしていて、結果2本かな、2本なので百万円前後の仕事で、このクオリティなのっていうところがあったということです。

ナミナミ

その金額で、そのクオリティは確かに衝撃的ですね。発注者側はどう対策すればよいでしょうか?

伊藤伊藤

発注者が最低限持っておく視点というところですね。そこはやはり担当者の日本語力ですかね。知性というのは言語力に比例すると言われているので、なんとなくお絵かき遊びをされないためには、どれくらい芯をくった会話ができるかというところに集約されるかなと思います。

ナミナミ

言語力で相手の実力を見極めるということですね。

伊藤伊藤

なんとなく上辺だけを撫でているような会話をしてくる担当者は、ちょっと怪しいなと思った方がいいと思います。見た目だけが綺麗なページを作ってもほとんど機能しないということになると思います。

伊藤伊藤

なので、過去の制作物、ポートフォリオみたいなものを見るというのも非常に重要なんですけれども、そこに対して絵力じゃなくて、どれくらい詳しい解説を得られるかというところが一つポイントになるかなと思います。

この項のまとめ

  • LP制作をプロに外注したが、成果がまったく出ず失望した経験が勉強会立ち上げのきっかけ。
  • 制作物は見た目重視で本質的なマーケティング視点や設計が欠けており、「お絵かき遊び」と表現されるレベルだった。
  • デザインツールの普及により「オペレーター化」したデザイナーが増え、スキルの本質的理解が薄れていると指摘。
  • 成果を出すには、ニーズや課題、仮説を理解し、クライアントの話を深く聞ける担当者が不可欠。
  • 発注者側も最低限の知識と判断力が必要で、相手の言語力・説明力を見てスキルを見極める視点が求められる。
  • これからの流れは、アウトソーシングから“内製・インハウス”へ

    ナミナミ

    こうした問題が起きる背景には、業界全体の構造的な変化もあるんでしょうか?

    伊藤伊藤

    はい。で、なんでこんなようなことになってしまったかというとですね、WEB業界自体が高度化され、そして細分化され、そして分業が進んでいったということなんですね。

    伊藤伊藤

    つまりですね、その物事に対しては非常に詳しく勉強している方もいると思いますけれども、一方で統合された情報を持っている人はほとんどいないということですね。言い換えるなら、スペシャリストは少なからずいるけれども、エキスパートというような人物はほとんどいなくなってしまった業界だということですね。

    ナミナミ

    スペシャリストとエキスパートの違い、興味深いですね。

    伊藤伊藤

    もっと言うとですね、一番重要なポイントは物を販売したりサービスを販売していったりするにあたってですね、従来は「何を」とか「どのように」という部分がウェイトが大きかったんですけれども、今はですね、それよりももっと大きいのは「誰向けなのか?」っていうところですね。

    ナミナミ

    「誰向けなのか」というターゲット設計が最重要ということですね。

    伊藤伊藤

    そこを見失っている方が非常に多いのかなというふうに思います。逆に誰向けなのかっていうところをしっかり構築できれば、そんなに大きく外したりすることはないのかなと思います。

    ナミナミ

    先ほどのクライアントさんのその後はいかがでしたか?

    伊藤伊藤

    で、先ほどのクライアントさんなんですけども、結局LP、ランディングページをですね、ほとんど全て社内で改修していきました。で、業者が作ってくれたLPはですね、大体エンゲージメント時間が30秒ぐらいだったんですけれども、社内で改修を重ねた結果、滞在時間、エンゲージメント時間は約1分を超えていくような形になったんですね。

    ナミナミ

    30秒から1分超えって、倍以上の改善ですね!すごいです。

    伊藤伊藤

    で、こういった現象は、WEBだけでなく、あらゆる業界で今後進んでいくかなと思うんですけれども、その会社が何を考え、どの方向に進んでいくかっていうところはですね、外注の業者っていうのはわからないんですね。

    ナミナミ

    確かに、外部の人にはその会社の本質的な部分は伝わりにくいですよね。これからの業界はどう変わっていくと思われますか?

    伊藤伊藤

    なので今後、アウトソーシングというのはなくなりはしないんですけど、どんどん縮小されていく方向になると思います。その代わり何が増えていくかというと、インハウス、外部の人を社内に招いて一緒にやっていこうねというスタイルと、もう一つが内製化ですね。

    ナミナミ

    インハウスと内製化が主流になっていくと。

    伊藤伊藤

    AIが発達したことにより、あらゆるナレッジは簡単に得られるようになります。なのでですね、社員を鍛え、WEBマーケティングについても内製化がどんどん進んでいくだろうなというふうに考えたわけです。

    ナミナミ

    それで今回のオンラインサロンを立ち上げられたわけですね。

    伊藤伊藤

    時代がそうであればですね、私もそういう形で内製化のご支援をしていきたいなということを考え、今回のオンラインサロンを設立するに至ったわけです。以上となります。

    ナミナミ

    ありがとうございました。とても興味深いお話でした。

    この項のまとめ

  • WEB業界の高度化・分業化により、専門知識は増えたが統合的な視点を持つ人材(エキスパート)が不足。
  • 成果を出すには「何をするか」よりも「誰に届けるか」というターゲット設計がより重要になっている。
  • 外注したLPよりも社内で修正したLPの方が成果(エンゲージメント時間)が大幅に改善。
  • 外注では企業の本質や方向性を正確に反映しづらく、今後はインハウスと内製化が主流になると予測。
  • AIの普及で知識取得が容易になり、企業内で人材を育てていく動きが加速。その支援としてオンラインサロンを設立。
  • 編集後記

    如何でしょうか? 「プロに頼めばうまくいく」——そんな常識が通用しなくなった時代に、私たちは何を学び、何を信じるべきなのでしょうか。今回の勉強会には、失敗という原体験から得た“気づき”が詰まっています。美しいだけのデザインでは成果は出ない。本当に必要なのは、相手の言葉に耳を傾け、仮説を立て、戦略を持って形にできる力。だからこそ、発注者・担当者の双方に“見る目”と“伝える力”が求められます。これからのWEBは、誰かに任せる時代から、自らが主体となる時代へ。あなたの現場でも、内製の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

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    次回の開催

    日時:2025年07月15日(火)17時~
    開催方法:オンライン開催(ZOOM)
    テーマ:ランディングページを作ろう!

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    スケジュール

    第01回:2025年05月20日(火)
     マーケティングとは何か?
    第02回:2025年06月17日(火)
     WEBマーケティングは難解か?
    第03回:2025年07月15日(火)
    第04回:2025年08月19日(火)
    第05回:2025年09月16日(火)
    第06回:2025年10月21日(火)
    第07回:2025年11月18日(火)
    第08回:2025年12月16日(火)
    第09回:2025年01月20日(火)
    第10回:2025年02月17日(火)

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