
資金繰りに特化した管理ソフトの需要はあるか?WEBマーケティング観点で解説
※2024年11月の時点の情報となります。
Y.K氏の知人である財務コンサルタントJ.W氏が、自身の専門スキルを活かして中小零細企業向けの資金繰り表作成サービスを立ち上げたいと相談してきました。しかし、10年前にLP制作を支援したものの集客に苦戦した経験があり、今回はリスティング広告での集客を検討。既存の会計ソフトにはない、銀行提出用にも対応できる汎用的な資金繰り表サービスの市場性について専門的な意見を求めています。
こんな方に見て欲しい
1. 専門サービス事業者(士業・コンサルタント) 自身の専門スキルをサービス化して収益化を検討している士業やコンサルタント。ターゲット設定やフロントエンド商品設計の重要性を学べる。
2. BtoBマーケティング担当者 企業向けサービスのマーケティング戦略立案者。ニッチ市場での2%マーケティングアプローチと顧客セグメント絞り込み手法の参考になる。
3. 中小企業向けサービス開発者 中小企業をターゲットとした新規サービス開発に携わる事業者。市場ニーズ検証の落とし穴と成功要因について具体的な知見を得られる。
目次
1. 相談の背景
Y.K氏の知人である財務コンサルタントJ.W氏が、自身の専門スキルを活かして中小零細企業向けの資金繰り表作成サービスを立ち上げたいと相談してきました。しかし、10年前にLP制作を支援したものの集客に苦戦した経験があり、今回はリスティング広告での集客を検討。既存の会計ソフトにはない、銀行提出用にも対応できる汎用的な資金繰り表サービスの市場性について専門的な意見を求めています。
2. 要点整理
- 財務コンサルタントJ.W氏が資金繰り表作成サービスの事業化を検討
- ターゲットは年商3-10億円の中小零細企業の社長
- 経理業務を自社や税理士に依存している企業層を想定
- 既存サービス(弥生等)とは異なる、銀行提出にも対応可能な汎用資金繰り表を提供
- 過去のLP制作では集客に失敗した経験あり
- リスティング広告を活用した集客手法での市場参入を模索
3. 問題点の抽出
問題点1:ターゲット設定の解像度不足 「年商3-10億円の中小零細企業」という設定では市場セグメントが曖昧すぎる。伊藤氏が指摘した通り、100人に1人に深く刺さるアプローチではなく、50人になんとなく使われる程度の訴求力しか持たない。1%マーケティングの原則に反している。
問題点2:フロントエンド商品設計の欠如 いきなり本格的な資金繰り表作成サービスを販売するのではなく、無料セミナーや試用版、期間限定サービスなど、顧客との最初の接点となる「入り口商品」の設計が不十分。BtoBサービスでは特に重要な顧客獲得プロセスが考慮されていない。
問題点3:市場ニーズの検証不足 「今存在しないサービスだから参入しよう」という発想は危険。市場に存在しない理由が「ニーズがない」「コストが見合わない」可能性を十分検討していない。また、士業分野はAI化の影響を受けやすく、将来性についても慎重な検討が必要。
弊社からのフィードバック
提案として、急激な業績悪化企業と急成長で資金不足に陥っている企業の2つのセグメントに絞り込むことで、真に必要性を感じている2%の顧客層を狙う戦略が有効とのアドバイスがありました。現状では98%の企業が「なんとなく必要だが手間をかけたくない」層であり、緊急性や必要性が高い局面にある企業を明確にターゲティングすることで、サービスの成功可能性を高められるとの見解が示されました。
編集後記
この相談の核心は「自分の専門スキルを世に活かしたい」という純粋な想いと、現実的なビジネス戦略のギャップにあります。J.W氏のような専門家の多くが抱える「良いものを作れば売れる」という思い込みは、マーケティングの基本原則を見落としがちです。しかし、今回のフィードバックの通り、ターゲットを絞り込み、フロントエンド設計を丁寧に行えば必ず道は開けます。同じような状況でお悩みの専門家の皆様、そしてY.K氏とJ.W氏には、この貴重な学びを活かして次のステップに進んでいただきたいと心から応援しています。

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講師紹介
株式会社ボンセレ 代表取締役
伊藤 祐介(いとう ゆうすけ)
❖ プロフィール
東京出身の“氷河期世代”。
身長182cm、見た目は大きめ、中身は細かめ。
公務員からスタートし、フレンチレストラン、築地魚河岸、ワインショップなど、業種も業界も超えて現場を経験。のちに広告代理店、EC支援、WEB制作へと軸足を移し、現在は複数企業のWEB戦略を支援。実務と現場視点に根ざした教育者です。
❖ 専門領域
WEBマーケティング/EC戦略立案
コンテンツ企画・制作
広告運用(SNS/検索)
顧客接点の設計とCRM支援
❖ 教育観・講義スタンス
「右腕は、育てることができる」。
人は“経験”だけでは変わりません。
変化するのは、思考のプロセスを鍛えたとき。
私は現場から、企画・広告・制作・接客・分析まで、すべての工程を実践してきました。だからこそ、「考えて動ける右腕」を育てるには、手を動かし、振り返り、問い直す場が必要だと考えています。
❖ 右腕育成にかける思い
「社長の想いを言語化し、現場に翻訳する存在」が右腕です。
単なるWEB人材ではなく、“経営を理解し、支える人材”を育てたい。
ひとつの強みを見つけ、自分にしかできない貢献の形を築く――
それが、このプログラムのゴールです。
❖ 私のルーツ
仮説実験授業(板倉聖宣 提唱)
科学的な思考法とディスカッションベースの学びに影響を受ける。プログラミングとの出会い
高校時代にBasicからスタート。VBAでの業務改善からWEB制作へ。
❖ 好きなこと
食べること・飲むこと・考えること。
最近のブームは激辛料理(ブートジョロキア)。
