とっつき辛いサーチコンソール、実はとても重要

Googleサーチコンソール完全活用|インプレッション増加とCTR改善の実践方法

※この記事はオンラインサロンの内容を元に作成しています。

サーチコンソールを導入したものの、膨大なデータを前に何を見ればいいか分からない。そんな悩みを抱える事業者は多い。しかし本質はシンプルだ。インプレッション、クリック率、掲載順位。この3つの指標を読み解けば、サイトの健全性が見える。「クリック前」のデータを扱うサーチコンソールは、バランスシートのような存在だ。インプレッションが増えなければ、クリック数は増えない。企画力を測る指標として、まずインプレッションに注目する。本記事では、初期設定から改善施策まで、サーチコンソールを使いこなす実践手順を解説する。

目次

こんな方におすすめ

  • サーチコンソールを導入したが、どの数値を見て何を改善すればいいか分からない初心者
  • インプレッション数が伸びず、クリック数も増えない状況を打破したいサイト運営者
  • 掲載順位4〜10位のページを効率的に上位表示させ、CTRを改善したい実践者
SEOのツールをマスターしよう

SEOツールの全体像を解説「 SEO対策の基本とツール完全ガイド」

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サーチコンソールって何?

Googleサーチコンソールとは何か|クリック前のデータを扱う理由

サーチコンソールとGA4の役割分担

「一つ目、一番大事なサーチコンソールというものになります。分かりやすく言うと、クリックされる前のデータですね」と伊藤は説明を始めた。サーチコンソールとGoogle Analytics 4(GA4)は、どちらもGoogleが提供する無料の分析ツールだが、役割は明確に異なる。

サーチコンソールは「クリック前」のデータを扱う。ユーザーがGoogleで検索し、あなたのサイトが検索結果に表示される。しかしまだクリックはしていない。この段階のデータ、つまり「何回表示されたか」「何位に表示されたか」「どんなキーワードで表示されたか」を測定するのがサーチコンソールだ。

一方、GA4は「クリック後」のデータを扱う。ユーザーがあなたのサイトをクリックし、実際にページを訪れた後の行動を追跡する。どのページを見たか、何分滞在したか、どのボタンをクリックしたか。サイト内での動きを詳細に記録する。

「経営用語で言うとバランスシートみたいなものですね。これが安定していれば、いい会社だよね、いいサイトだよねっていうふうに言えるかなと思います」と伊藤は比喩する。バランスシートは企業の資産状況を示す財務諸表だ。健全なバランスシートを持つ企業は、長期的に安定した経営ができる。サーチコンソールも同じだ。クリック前の段階で十分な露出があり、適切な順位を維持していれば、サイトの基盤は安定している。

なぜ両方必要なのか。それは、問題の切り分けができるからだ。クリック数が少ない原因は二つある。一つは、そもそも検索結果に表示されていない(インプレッション不足)。もう一つは、表示されているがクリックされていない(CTR不足)。サーチコンソールを見れば、どちらの問題かが一目で分かる。インプレッション不足なら企画やキーワード選定の問題、CTR不足ならタイトルやディスクリプションの問題だ。この切り分けができなければ、適切な改善策を打てない。

サーチコンソールで見える3つの指標

サーチコンソールで見るべき指標は基本的に三つだ。インプレッション数、クリック数、掲載順位である。さらにこの三つから計算されるクリック率(CTR)も重要な指標となる。

インプレッション数とは、検索結果にあなたのページが表示された回数だ。ユーザーが「SEO対策 方法」と検索し、あなたのページが5位に表示された。ユーザーがその検索結果ページを見たなら、1インプレッションとカウントされる。ユーザーがスクロールして見なかった場合はカウントされない。つまり、実際にユーザーの視界に入った回数を測定している。

クリック数は、インプレッションのうち実際にクリックされた回数だ。100回表示されて5回クリックされれば、クリック数は5となる。

掲載順位は、検索結果で何位に表示されたかを示す。ただし、これは平均値で表示される。あるキーワードでは3位、別のキーワードでは8位なら、平均掲載順位は5.5位となる。

そしてクリック率(CTR)は、インプレッション数に対するクリック数の割合だ。100回表示されて5回クリックされれば、CTRは5%となる。この数値が、タイトルやディスクリプションの魅力度を示す。

なぜインプレッションが最重要なのか

「皆さん関心があるのはクリック数だと思うんですけど、インプレッションが増えていかないとクリック数っていうのは増えていかないんですね」と伊藤は指摘する。これは単純な算数だ。インプレッション100回でCTR5%なら、クリック数は5だ。CTRを10%に改善しても、クリック数は10にしかならない。しかしインプレッションを1000回に増やせば、CTR5%のままでもクリック数は50になる。

インプレッションは、企画力の指標だ。「なので、インプレッションをいかに効率的に上げていけるかっていうところがSEO対策でありますし、ブログ自体の企画力ということになってくると思います」。検索されるキーワードを選んでいるか。ユーザーのニーズを捉えているか。記事のテーマ設定が適切か。これらすべてが、インプレッション数に表れる。

誰も検索しないキーワードで記事を書いても、インプレッションは増えない。競合が強すぎて100位に表示されても、インプレッションは増えない。検索ニーズを捉え、かつ勝てるキーワードを選ぶ。この企画段階の判断が、すべての起点になる。

インプレッションが増えれば、自然とクリック数も増える。CTRが低くても、母数が大きければクリック数は確保できる。逆に、CTRが高くても、インプレッションが少なければ限界がある。SEO対策の第一歩は、インプレッション数を増やすことだ。そのためには、検索ボリュームのあるキーワードを選び、そのキーワードで上位表示を目指す。この基本を忘れてはならない。

この項のまとめ

  • サーチコンソールは「クリック前」、GA4は「クリック後」のデータを扱う。両方見ることで問題の切り分けができる
  • バランスシートのように、サイトの基盤が安定しているかを示す。健全な露出と順位が長期的な成功の土台
  • 見るべき指標は3つ。インプレッション数、クリック数、掲載順位。これらからCTRを計算して改善の優先順位を判断
  • インプレッションが増えないとクリックは増えない。CTR改善より、まずインプレッション増加が最優先
  • インプレッション数は企画力の指標。検索ニーズを捉え、勝てるキーワードを選ぶことがSEO対策の起点

サーチコンソールの基本操作をマスター

サーチコンソールの初期設定と基本操作

サイトの所有権確認と登録方法

サーチコンソールを使い始めるには、まずGoogleにサイトの所有権を証明する必要がある。これは、誰でも他人のサイトのデータを見られないようにするためのセキュリティ対策だ。Google Search Consoleにアクセスし、Googleアカウントでログインする。「プロパティを追加」ボタンをクリックすると、所有権確認の画面が表示される。

所有権確認には主に4つの方法がある。HTMLファイルをアップロードする方法、HTMLタグをサイトのヘッダーに追加する方法、Googleアナリティクスのトラッキングコードを利用する方法、そしてDNSレコードで確認する方法だ。最も簡単なのは、HTMLタグをヘッダーに追加する方法だろう。提供されたメタタグをコピーし、サイトのヘッダー部分に貼り付けるだけだ。WordPressなら、テーマの設定画面やプラグインで簡単に追加できる。

プロパティには「ドメインプロパティ」と「URLプレフィックス」の2種類がある。ドメインプロパティは、サブドメインやhttps/httpの違いをすべて統合してデータを見られる。URLプレフィックスは、特定のURLのみを対象にする。推奨されるのはドメインプロパティだが、こちらはDNS設定が必要なため、やや技術的なハードルがある。初心者はまずURLプレフィックスで始めてもいい。後から変更も可能だ。

所有権確認が完了すると、数時間から数日でデータが表示され始める。既存のサイトなら、過去16ヶ月分のデータが遡って確認できる。新規サイトの場合は、データの蓄積を待つ必要がある。

サイトマップの作成と登録

サイトマップとは、サイト内のすべてのページのURLをリスト化したXMLファイルだ。これをGoogleに提出することで、クローラーが効率的にサイトを巡回し、すべてのページをインデックスできる。「都度登録しに行くのは効率よくない」と伊藤が述べたように、新しい記事を公開するたびに手動でGoogleに通知するのは現実的でない。サイトマップを一度登録しておけば、クローラーが定期的に巡回し、新しいコンテンツを自動的に発見してくれる。

サイトマップの作成方法は、使用しているCMSによって異なる。WordPressなら、Yoast SEOやAll in One SEO Packといったプラグインが自動でサイトマップを生成してくれる。通常、サイトマップは

https://yourdomain.com/sitemap.xml

というURLで公開される。これをサーチコンソールの「サイトマップ」メニューから登録する。URLを入力して送信ボタンを押すだけだ。

登録後、Googleがサイトマップを読み取るまで少し時間がかかる。数時間から数日後、ステータスが「成功」になれば完了だ。ここで重要なのは、サイトマップに記載されたURL数と、実際にインデックスされたURL数を確認することだ。大きな差がある場合、何らかの問題がある。noindexタグが設定されていたり、robots.txtでブロックされていたり、重複コンテンツと判断されていたりする可能性がある。

インデックスの自動化のメリットは計り知れない。手動でURL登録する手間が省けるだけでなく、Googleが定期的にサイトを巡回するようになる。これによって、新規記事の公開から検索結果への反映までの時間が大幅に短縮される。早ければ数時間、遅くとも数日でインデックスされる。サイトマップのない状態では、数週間かかることもある。

URL検査ツールの使い方

サイトマップで自動化できても、個別のページの状況を確認したい場合がある。特に重要な記事を公開したとき、リライトして更新したとき、あるいはインデックスされていないページがあるとき。こうした場面で使うのがURL検査ツールだ。

サーチコンソールの上部にある検索バーに、確認したいページのURLを入力する。するとそのページのインデックス状況が表示される。「URLはGoogleに登録されています」と表示されれば、正常にインデックスされている。「URLがGoogleに登録されていません」と表示されれば、何らかの問題がある。

問題がある場合、詳細を確認できる。クロールエラーの内容、noindexタグの有無、canonical設定、モバイルユーザビリティの問題など、様々な情報が提供される。これらを一つずつ解決していく。

インデックスされていないページに対しては、「インデックス登録をリクエスト」ボタンを押すことで、優先的にクロールしてもらえる。ただし、これは即座にインデックスされることを保証するものではない。リクエストを受け取ったGoogleが、数日以内にクロールして判断する。問題がなければインデックスされ、問題があれば再びエラーが表示される。

新規記事を公開したときの必須作業として、このURL検査を実行する習慣をつけるといい。サイトマップの自動巡回を待つより、能動的にリクエストしたほうが早い。特に重要な記事、力を入れた記事は、公開直後にURL検査を実行し、インデックス登録をリクエストする。これによって、検索結果への反映が早まり、早期からアクセスを獲得できる可能性が高まる。

この項のまとめ

  • 所有権確認は4つの方法がある。HTMLタグをヘッダーに追加する方法が最も簡単。ドメインプロパティとURLプレフィックスの違いを理解する
  • サイトマップ(XML)は全ページのURLリスト。WordPress等ではプラグインが自動生成。サーチコンソールに登録してクローラーの効率的な巡回を実現
  • サイトマップ登録で新規記事が数時間から数日でインデックス。手動では数週間かかる場合もあり、自動化のメリットは大きい
  • URL検査ツールで個別ページのインデックス状況を確認。クロールエラー、noindexタグ、canonical設定などの問題を特定できる
  • 新規記事公開後はURL検査を実行し、インデックス登録をリクエスト。重要な記事ほど能動的にリクエストして早期反映を狙う

SEOはインプレッションが生命線

インプレッション数を増やす5つの方法

検索ボリュームのあるキーワードを選ぶ

インプレッション数を増やす第一の方法は、そもそも検索されるキーワードを選ぶことだ。どれだけ素晴らしい記事を書いても、誰も検索しないキーワードでは、インプレッションは発生しない。これは当たり前のようで、多くのサイト運営者が見落としている点だ。

キーワードプランナーを使えば、各キーワードの月間検索回数を確認できる。目安として、月間検索回数が100回以上あるキーワードを選ぶといい。100回未満でも、複数のロングテールキーワードを組み合わせれば、合計で十分なボリュームになる。例えば「SEO対策」は月間数万回検索されるが、競合が強い。「SEO対策 初心者 無料」なら月間500回程度でも、競合が弱い可能性がある。

ロングテールキーワード戦略は、SEO初期に特に有効だ。3語以上の組み合わせで、具体的なニーズを捉える。検索ボリュームは小さくても、検索意図が明確なため、コンバージョン率が高い。10個のロングテールキーワードで上位表示できれば、合計で月間5000回のインプレッションを獲得できる。

競合が弱いキーワードの見つけ方は、キーワードプランナーの「競合性」を見ることだ。「低」または「中」と表示されるキーワードを狙う。さらに、実際に検索して上位10件を確認する。個人ブログや質の低いコンテンツが上位にいるなら、勝てる可能性は高い。大手メディアや企業サイトばかりなら、別のキーワードを探したほうがいい。

検索意図に合致したコンテンツを作る

検索ボリュームがあっても、検索意図に合致していなければ、上位表示されない。検索意図には大きく4つの分類がある。Know(知りたい)、Know-How(やり方を知りたい)、Do(実行したい)、Buy(購入したい)だ。

「SEOとは」で検索する人は、Knowクエリだ。SEOの基本的な定義や概念を知りたい。この検索意図に対して、具体的なツールの使い方を延々と解説しても、ミスマッチだ。まず概念を簡潔に説明し、その後に詳細へ進むべきだ。

「SEO対策 やり方」で検索する人は、Know-Howクエリだ。ステップバイステップの手順を求めている。抽象的な理論より、具体的なアクションを示すべきだ。「まず〇〇をして、次に××をする」という形式が効果的だ。

上位10件の分析方法は、実際に検索してみることだ。どんなタイトルが並んでいるか。記事の構成はどうか。見出しはどう設定されているか。文字数は。Googleが評価しているコンテンツの傾向を掴む。そして、それらを上回る価値を提供する。情報の網羅性、最新性、独自性、読みやすさ。どこかで差別化できれば、上位表示の可能性は高まる。

ユーザーが本当に求めている情報を見極めるには、関連キーワードも参考になる。検索結果の最下部に表示される「関連する検索キーワード」や、サーチコンソールの検索クエリレポートを見れば、ユーザーの潜在的なニーズが分かる。そのニーズに応える形でコンテンツを拡充すれば、より多くの検索クエリで上位表示できる。

タイトルとコンテンツの一致も重要だ。「初心者向け」とタイトルに書きながら、専門用語だらけの記事では、ユーザーは満足しない。直帰率が高まり、Googleの評価も下がる。タイトルで約束したことを、コンテンツで確実に提供する。この誠実さが、長期的な評価につながる。

記事数を増やして網を広げる

インプレッションを増やす第三の方法は、シンプルに記事数を増やすことだ。1記事より10記事、10記事より100記事のほうが、インプレッションの総数は増える。これは確率の問題だ。記事が多ければ多いほど、様々なキーワードで検索結果に表示される機会が増える。

ただし、闇雲に記事を増やせばいいわけではない。カテゴリー構成の最適化が必要だ。関連する記事同士をカテゴリーでまとめる。Googleはカテゴリー単位でサイトを評価する側面がある。「SEO対策」カテゴリーに30記事あれば、このサイトはSEOに詳しいと判断される。バラバラのテーマで30記事あっても、専門性は評価されにくい。

ピラー・クラスター戦略は、記事数を増やす際の指針になる。ピラー記事(総論)を一つ作り、そこから枝分かれする形でクラスター記事(各論)を3〜5本作る。これを1セットとして、複数のセットを構築していく。伊藤がK氏に助言した例でいえば、「漆喰の内装」というピラー記事に対して、「漆喰の値段」「漆喰のメンテナンス」「漆喰の素材選び」「漆喰のデザイン」という各論を展開する。

内部リンクでサイト全体を強化することも忘れてはならない。新しい記事から古い記事へ、古い記事から新しい記事へ、相互にリンクを貼る。これによって、個々の記事の評価がサイト全体に波及する。1記事が上位表示されれば、そこからリンクされた他の記事も評価が高まる。このネットワーク効果が、サイト全体のインプレッション増加につながる。

定期的なリライトで鮮度を保つ

記事は一度書いて終わりではない。定期的なリライトで鮮度を保つことが、インプレッション維持に不可欠だ。情報は古くなる。3年前のデータを今も掲載していれば、ユーザーは失望する。Googleもそれを察知し、順位を下げる。

古い情報の更新は、最も基本的なリライトだ。統計データ、事例、ツールの画面、法律や規制。これらは定期的に変わる。年に一度、記事を見直し、最新情報に書き換える。これだけで、順位が回復することは珍しくない。

最終更新日の重要性は、しばしば見落とされる。Googleは最終更新日を重視する。同じ内容でも、昨日更新された記事と3年前の記事では、前者が優先される。記事の最終更新日をサイトに表示し、リライトしたらその日付を更新する。これがGoogleへのシグナルになる。

リライトで順位回復した事例は数多い。あるサイトでは、2年前に公開した記事が20位まで落ちていた。情報を最新化し、不足していたセクションを追加し、内部リンクを強化した。3週間後、5位まで上昇した。コンテンツの質が上がり、最終更新日が新しくなったことで、Googleが再評価したのだ。

年1回のメンテナンスサイクルを設定するといい。記事の公開日から1年経ったら、リライトの候補としてリストアップする。すべての記事をリライトする必要はない。インプレッションが多い記事、掲載順位が4〜10位の記事を優先する。時間とリソースを効率的に配分することが、継続的なメンテナンスの鍵だ。

関連キーワードで記事を拡充する

インプレッション増加の第五の方法は、関連キーワードで記事を拡充することだ。サーチコンソールの検索クエリ分析が、この宝の山だ。検索パフォーマンスレポートを開き、「クエリ」タブを見る。すると、自分のサイトがどんなキーワードで表示されているかが分かる。

意外なキーワードでの流入発見は、よくある。「SEO対策 初心者」で記事を書いたつもりが、「SEO対策 本」でも流入している。これは、記事内で参考書籍に触れたからだ。ならば、SEO対策の推薦本を詳しく紹介する記事を新たに作成すれば、このキーワードでさらにインプレッションを獲得できる。

そのキーワードで新規記事を作成することで、点が線になり、線が面になる。1記事では捉えきれなかったユーザーニーズを、複数の記事で網羅する。これが、ロングテールSEOの真髄だ。

ユーザーニーズの掘り起こしは、データドリブンなアプローチだ。自分の想像ではなく、実際の検索クエリから学ぶ。ユーザーが何を求めているか。どんな言葉で検索しているか。サーチコンソールが教えてくれる。そのニーズに応えることが、インプレッション増加の最も確実な方法だ。

この項のまとめ

  • 月間検索回数100回以上のキーワードを選ぶ。ロングテールキーワード戦略で競合が弱いゾーンを狙い、複数の小さな勝利を積み重ねる
  • 検索意図(Know、Know-How、Do、Buy)に合致したコンテンツを作る。上位10件を分析してGoogleが評価する傾向を掴む
  • カテゴリーを最適化し、ピラー・クラスター戦略で記事を増やす。内部リンクのネットワーク効果でサイト全体の評価を高める
  • 年1回のメンテナンスサイクルで情報を最新化。最終更新日が新しくなることでGoogleが再評価し、順位回復する
  • サーチコンソールの検索クエリから意外なキーワードを発見。そのキーワードで新規記事を作成し、ロングテールSEOを強化する

クリック率も重要指標

クリック率(CTR)を改善する実践テクニック

CTRの平均値と改善目標

インプレッションが十分にあっても、クリックされなければ意味がない。クリック率(CTR)は、検索結果に表示されたうち、何パーセントがクリックされたかを示す指標だ。掲載順位によって、CTRの平均値は大きく異なる。

一般的なデータでは、1位の平均CTRは約28%、2位は約15%、3位は約11%とされる。4位になると約8%、5位で約7%と急激に下がる。10位では約2%程度だ。これは、多くのユーザーが検索結果の上位3つしか見ないことを意味する。1ページ目に表示されていても、下位であればクリックされる可能性は低い。

自分のサイトのCTRを確認する方法は、サーチコンソールの検索パフォーマンスレポートを開き、ページ単位で見ることだ。掲載順位とCTRを比較して、平均値より低ければ改善の余地がある。例えば、3位に表示されているのにCTRが5%なら、タイトルやディスクリプションに問題がある可能性が高い。

改善の余地がある基準値として、掲載順位のCTR平均値より3ポイント以上低い場合は、優先的に改善すべきだ。逆に、平均値を上回っていれば、タイトルとディスクリプションは効果的に機能している。その場合は、掲載順位そのものを上げることに注力したほうがいい。

タイトルの最適化でCTRを上げる

「基本的には上から順番に効果が高いと言われてるので、まずタイトルの最適化ですよね」と伊藤が述べたように、タイトルはCTR改善の最優先事項だ。検索結果で最も目立つ要素であり、ユーザーがクリックするかどうかを決める最大の要因だ。

数字を入れる効果は実証されている。「SEO対策の方法」より「SEO対策の方法7選」のほうが、具体性があり、クリック率が高まる。「売上が上がる」より「売上が3倍になる」のほうが、信憑性と説得力がある。数字は人の目を引く。

疑問形と命令形の使い分けも重要だ。「SEO対策とは?」という疑問形は、Know(知りたい)クエリに適している。「SEO対策で順位を上げる方法」という命令形は、Know-How(やり方を知りたい)クエリに適している。検索意図に合わせて形式を変える。

32文字以内に収める理由は、Googleの検索結果で表示される文字数に制限があるからだ。パソコンでは約32文字、スマートフォンでは約40文字が目安だ。重要なキーワードや訴求ポイントが途中で切れてしまうと、効果が半減する。前半に重要な情報を詰め込む。

検索キーワードを前半に配置することも鉄則だ。ユーザーが「SEO対策 初心者」で検索したなら、タイトルの冒頭に「SEO対策」と「初心者」が入っていることで、自分の求める情報だと認識しやすい。後半に配置すると、スクロールせずに判断されてしまう可能性がある。

ディスクリプションの戦略的活用

ディスクリプションは、タイトルの下に表示される説明文だ。約120文字がスマートフォンで表示される目安となる。この限られた文字数で、記事の価値を伝え、クリックを促す必要がある。

120文字で伝えるべきことは、三つだ。一つ目は、記事の内容。何が書いてあるのかを端的に示す。二つ目は、ベネフィット。読むことで何が得られるのか。三つ目は、信頼性。なぜこの記事が信頼できるのか。この三つを盛り込む。

ベネフィットの明確化は、ユーザーの行動を促す。「SEO対策の基本を解説」だけでは弱い。「初心者でも今日から実践できるSEO対策を解説」とすれば、すぐに使える情報だと分かる。「売上向上の方法」より「3ヶ月で売上を2倍にした方法」のほうが、具体的で魅力的だ。

具体的な数値や実績の提示は、信頼性を高める。伊藤が示した「3ヶ月でアクセス3倍」という実例のように、実績を数値で示すことで、説得力が増す。抽象的な表現より、具体的な数字のほうが、ユーザーの心を動かす。

Call to Actionの組み込みも効果的だ。「詳しくはこちら」「今すぐ確認」「完全ガイドを読む」といった行動を促す言葉を最後に入れる。ただし、これは使いすぎると安っぽく見えるため、記事の性質に合わせて判断する。

構造化データでリッチリザルトを獲得

構造化データは、検索結果での表示を豊かにする技術だ。「良質なコンテンツを作る一方で、きちんと構造化データとしてGoogleに伝えられるかっていうところも非常に重要になってきています」と伊藤が強調したように、これは現代SEOの必須要素だ。

スターレーティング(星評価)は、商品レビューやサービス評価の記事で使える。検索結果に星マークと評価点数が表示される。視覚的に目立ち、CTRが大きく向上する。ユーザーは星の数で品質を判断するため、高評価の記事は選ばれやすい。

FAQ(よくある質問)の構造化データを実装すると、検索結果に質問と回答が展開表示される。ユーザーは検索結果ページで疑問を解決でき、その上でクリックするかを判断できる。これは実はCTRを下げる可能性もあるが、クリックするユーザーの質が高まる。本当に詳細を知りたい人だけがクリックするため、滞在時間やエンゲージメントが向上する。

HowTo(手順)の構造化データは、手順を視覚的に示す。料理のレシピ、DIYの方法、設定手順など、ステップバイステップのコンテンツに適している。検索結果で手順の概要が見え、ユーザーは記事の構成を事前に把握できる。

伊藤の実例、「今、お手伝いしてるサイトでJSON-LDコードを7月に入れた結果、3カ月でサイトのアクセスは3倍になりました」は、構造化データの効果を如実に示している。適切に実装すれば、劇的な改善が期待できる。

この項のまとめ

  • 掲載順位別の平均CTRは1位28%、2位15%、3位11%。自分のサイトが平均より3ポイント以上低ければ優先的に改善する
  • タイトルには数字を入れ、32文字以内に収め、検索キーワードを前半に配置。疑問形と命令形を検索意図に合わせて使い分ける
  • ディスクリプション120文字で内容・ベネフィット・信頼性を伝える。具体的な数値や実績を示して説得力を高める
  • 構造化データ(星評価・FAQ・HowTo)でリッチリザルトを獲得。視覚的に目立ち、CTRが大きく向上する
  • 実例では構造化データ実装で3ヶ月でアクセス3倍。適切な実装が劇的な改善をもたらす

SEOの狙い目を考える

掲載順位4〜10位のページを優先的に改善する戦略

なぜ4〜10位が狙い目なのか

サーチコンソールで自分のサイトを分析すると、様々な順位のページが混在している。1位のページもあれば、50位のページもある。限られた時間とリソースで、どのページから改善すべきか。答えは明確だ。掲載順位4〜10位のページを優先する。

理由は簡単だ。あと一歩で1ページ目の上位に入れるからだ。50位のページを10位に上げるには、膨大な労力がかかる。しかし7位のページを3位に上げるのは、比較的容易だ。コンテンツの拡充、内部リンクの強化、リライトによる情報更新。これだけで順位が上がる可能性は高い。

1〜3位との大きなCTR差も見逃せない。前述の通り、1位は28%、2位は15%、3位は11%だが、4位は8%、5位は7%、10位は2%だ。7位から3位に上がれば、CTRが4倍近くになる。同じインプレッション数でも、クリック数は劇的に増える。

投資対効果が最も高いゾーンだ。少ない労力で大きな成果が得られる。新規記事を書くより、既存記事を改善したほうが、短期間で結果が出る。新規記事は検索エンジンに評価されるまで時間がかかるが、既存記事はすでに一定の評価を得ている。その評価を少し押し上げるだけで、大きく順位が変わる。

新規記事より既存記事の改善を優先すべき理由がここにある。100記事あるサイトで、そのうち20記事が4〜10位にいるなら、この20記事を改善することに集中する。新規記事は後回しでいい。まず手元にある資産を最大限に活用する。

競合分析で勝つポイントを見つける

4〜10位のページを改善するには、まず競合を知る必要がある。自分より上位にいるサイトは、何が優れているのか。実際に検索して、上位3サイトを徹底的に分析する。

上位3サイトの共通点を見つける。文字数は何文字か。見出しの構成はどうか。どんな情報が含まれているか。画像や図表はどれくらい使われているか。内部リンクはどこに貼られているか。これらを一つずつチェックし、リストアップする。

不足している情報の特定が、勝つための鍵だ。上位3サイトすべてに含まれている情報が、自分のサイトにない。これが順位の差を生んでいる可能性が高い。ユーザーが求めている情報を、競合は提供しているが、自分は提供していない。ならば、その情報を追加すればいい。

文字数、構成、内部リンクの比較も重要だ。上位サイトが平均5000文字なのに、自分のサイトが2000文字なら、情報量が不足している。上位サイトがH2見出しを7つ使っているのに、自分は3つなら、構造が不十分だ。上位サイトが関連記事へのリンクを5本貼っているのに、自分は1本なら、内部リンクが弱い。

独自性を加える方法も忘れてはならない。競合と同じことをしても、後発では勝てない。競合にない情報を追加する。独自の事例、独自のデータ、独自の視点。何か一つ、他にはない価値を提供する。これが差別化だ。

内部リンクの強化

順位を上げるための具体的な施策の一つが、内部リンクの強化だ。関連記事からのリンクを追加する。サイト内に関連性の高い記事があるなら、そこから対象ページへのリンクを貼る。「詳しくはこちらの記事で解説しています」という形で、自然にリンクを挿入する。

フッターやサイドバーの活用も効果的だ。重要なページへのリンクを、サイト全体のフッターに配置する。すべてのページからリンクが送られるため、対象ページの評価が高まる。ただし、やりすぎは禁物だ。10個も20個もフッターリンクを並べると、Googleからスパムと見なされる可能性がある。3〜5個に絞る。

アンカーテキストの最適化も見逃せない。「こちら」「詳細」といった曖昧なアンカーテキストではなく、「SEO対策の基本」「キーワード選定の方法」といった具体的なテキストでリンクを貼る。これによって、Googleはリンク先のページがどんな内容かを理解しやすくなる。

リンクジュースの流し方も戦略的に考える。評価の高いページから、評価を上げたいページへリンクを送る。すでに1位を獲得しているページは、ドメインパワーが高い。そのページから4〜10位のページへリンクを貼れば、評価が流れ込む。これがリンクジュースの概念だ。サイト内でパワーを再配分する。

コンテンツの拡充とリライト

内部リンクだけでは不十分な場合、コンテンツ自体を拡充する。情報の追加で、最低でも1000文字は増やす。新しいセクションを追加し、より詳しく、より網羅的に解説する。ユーザーの疑問に、より深く答える。

最新データへの更新も必須だ。3年前のデータを使っているなら、最新のデータに差し替える。統計、事例、ツールの画面、すべて最新にする。これだけで信頼性が増し、Googleの評価も上がる。

画像や図表の追加は、視覚的な理解を助ける。文章だけでは伝わりにくい情報を、画像で補う。手順を説明するなら、スクリーンショットを入れる。データを示すなら、グラフや表にする。視覚要素が増えれば、ユーザーの滞在時間も伸びる。

H2・H3見出しの整理も重要だ。構造が曖昧な記事は、Googleに評価されにくい。「きちんと順序を立てて説明をしていけるかっていうところ、その見出しがHタグになるわけです」と伊藤が指摘したように、論理的な構造を持つことが重要だ。見出しを見直し、情報を整理し、読者が迷わない流れを作る。

4〜10位のページは、宝の山だ。すでにGoogleから一定の評価を得ている。あと少しの努力で、上位表示できる。この「あと少し」に集中することが、SEO成功への近道だ。

この項のまとめ

  • 4〜10位のページは「あと一歩」で上位表示できる。投資対効果が最も高く、7位から3位でCTRが4倍近くになる
  • 上位3サイトを分析し、共通点と自分に不足している情報を特定。文字数、構成、内部リンクを比較して改善点を見つける
  • 関連記事からの内部リンク追加、フッター活用、アンカーテキスト最適化で評価を高める。評価の高いページからリンクジュースを流す
  • コンテンツを1000文字以上拡充し、最新データに更新。画像や図表を追加して視覚的理解を助ける
  • H2・H3見出しを整理して論理的な構造を作る。順序立てた説明がGoogleの評価を高める

エラーを最短でトラブルシューティング

エラーと警告への正しい対処法

カバレッジレポートの読み方

「それからエラーの通知がきますので、ここを修正してくださいねっていうところ、SEO的に良くないですよっていうところを指摘してくれるので、これを無視せず、きちんと直していくことが非常に重要になってきます」と伊藤は強調する。サーチコンソールのカバレッジレポートは、サイトの健全性を診断する重要なツールだ。

カバレッジレポートには4つの分類がある。「エラー」「有効(警告あり)」「有効」「除外」だ。エラーは、インデックスされるべきページがインデックスされていない状態を示す。これは最優先で対処すべきだ。有効(警告あり)は、インデックスはされているが何らかの問題がある状態だ。有効は、正常にインデックスされている。除外は、意図的にインデックスから除外されているページだ。

優先的に対処すべきエラーは、「送信されたURLが見つかりませんでした(404)」「サーバーエラー(5xx)」「リダイレクトエラー」などだ。これらは、ユーザーがアクセスできないページを意味する。Googleのクローラーもアクセスできないため、インデックスされない。

404エラーの修正方法は二つある。一つは、ページを復活させる。削除したページを再度公開するか、コンテンツを作り直す。もう一つは、適切なページへ301リダイレクトを設定する。例えば、古い商品ページを削除したなら、新しい商品ページや商品一覧ページへリダイレクトする。ユーザーが迷わないようにする。

リダイレクトの設定は、.htaccessファイルを編集するか、WordPressならRedirectionプラグインを使う。301リダイレクトは永久的な転送を意味し、元のページの評価を新しいページに引き継ぐ。これによって、せっかく積み上げた評価を失わずに済む。

モバイルユーザビリティの問題

現在、検索の過半数はスマートフォンから行われる。Googleもモバイルファーストインデックスを採用している。つまり、モバイル版のサイトを基準に評価する。モバイルユーザビリティに問題があれば、順位が大きく下がる。

モバイルフレンドリーテストは、Googleが提供する無料ツールだ。URLを入力するだけで、モバイルでの表示に問題がないかをチェックできる。問題があれば、具体的な指摘が表示される。

「テキストが小さすぎる」という警告は、文字サイズが読みにくいことを意味する。最低でも16pxは確保すべきだ。それより小さいと、ユーザーは画面を拡大しなければ読めない。これはユーザー体験を損なう。CSSで文字サイズを調整する。

「クリック可能な要素が近すぎる」という警告は、ボタンやリンクの間隔が狭すぎることを意味する。指でタップするとき、隣のボタンを誤って押してしまう。これもユーザー体験を損なう。ボタン間の余白を広げる。最低でも48px四方のタップ領域を確保する。

ビューポートの設定は、HTMLのheadタグ内に記述する。「viewport」メタタグで、画面幅をデバイスに合わせる設定をする。これがないと、スマートフォンでもPC版の表示になり、文字が極小になる。レスポンシブデザインの基本だ。

Core Web Vitalsの警告

Core Web Vitalsは、ページの読み込み速度とユーザー体験を測定する指標だ。LCP、CLS、INPの3つがある。サーチコンソールのCore Web Vitalsレポートで、各ページの状態を確認できる。

LCP(Largest Contentful Paint)は、最も大きなコンテンツが表示されるまでの時間だ。基準値は2.5秒以内。これを超えると「改善が必要」と警告される。「一番多いのは、やっぱり一番最初にある大きなきれいなグラフィック、画像が評価されるケースが多いので、画像をいかに最適化できるかっていうところですね」と伊藤が述べたように、画像の最適化が最も効果的だ。

画像最適化の方法は、ファイルサイズを圧縮する、次世代フォーマット(WebP)を使う、遅延読み込み(Lazy Load)を実装する。これだけでLCPは大幅に改善される。

CLS(Cumulative Layout Shift)は、レイアウトシフトの度合いだ。「要するに、うざさの度合いを数値化した指標になります。なので、これが高いと詐欺みたいなページだねっていう評価になるわけです」。ページを読んでいる最中に、突然広告が表示されて、読んでいた位置がずれる。これがレイアウトシフトだ。基準値は0.1以下。

レイアウトシフトの解消には、画像や広告枠に事前にサイズを指定する。widthとheight属性を設定しておけば、コンテンツが読み込まれる前に領域が確保され、ずれが起きない。

INP(Interaction to Next Paint)は、ユーザーがアクションを起こしたときに反応までどれぐらい時間がかかるかだ。基準値は200ミリ秒以内。ボタンをクリックしても反応が遅いと、ユーザーは不安になる。

JavaScript実行時間の短縮が対策になる。不要なスクリプトを削除し、必要なスクリプトは非同期で読み込む。これによって、ページの応答性が向上する。

手動による対策(ペナルティ)

サーチコンソールの「手動による対策」レポートに通知が来たら、それは深刻な状況だ。Googleの担当者が目視でサイトを確認し、ガイドライン違反と判断したことを意味する。これはペナルティであり、検索結果から除外されたり、順位が大幅に下がったりする。

スパム判定の原因は様々だ。過度な被リンク、隠しテキスト、クローキング、コピーコンテンツなど。意図的にSEOを操作しようとした結果、ペナルティを受ける。最近では、AIで大量に生成した低品質コンテンツもスパム判定される。

再審査リクエストの方法は、まず問題を完全に修正する。スパムリンクを削除し、隠しテキストを消し、コピーコンテンツを書き直す。そして、サーチコンソールから再審査をリクエストする。どんな問題があり、どう修正したかを詳細に説明する。

被リンクの否認は、リンク否認ツールを使う。自分では削除できない悪質な被リンクがある場合、Googleに「このリンクは無視してください」と伝える。ただし、これは最終手段だ。まずはリンク元に削除を依頼する。

ペナルティからの回復事例は、数ヶ月かかることが多い。再審査リクエストが承認されても、順位が戻るまで時間がかかる。失った信頼を取り戻すには、継続的に良質なコンテンツを提供し続けるしかない。

この項のまとめ

  • カバレッジレポートで404エラーやサーバーエラーを確認。優先的に修正し、301リダイレクトで評価を引き継ぐ
  • モバイルユーザビリティは最優先。テキストは16px以上、タップ領域は48px四方を確保。ビューポート設定も必須
  • LCPは2.5秒以内が基準。画像最適化(圧縮、WebP、Lazy Load)で大幅改善。CLSは0.1以下、INPは200ms以内
  • レイアウトシフト解消には画像や広告枠に事前サイズ指定。JavaScript実行時間短縮でINP改善
  • 手動ペナルティは深刻。問題を完全修正してから再審査リクエスト。回復には数ヶ月かかることを覚悟する

サーチコンソールとにらめっこしよう。

サーチコンソールのデータをPDCAサイクルに活かす

月次レポートの作成習慣

「なので、このようなノウハウをきちんと確認しながら、振り返りながら進めていかれるといいかなというふうに思います」と伊藤が助言したように、サーチコンソールのデータは定期的に振り返ることで価値が生まれる。月に一度、レポートを作成する習慣をつけるといい。

見るべき指標のチェックリストを作成する。総インプレッション数、総クリック数、平均CTR、平均掲載順位。これらを月ごとに記録していく。さらに、ページ別、クエリ別のデータも確認する。どのページがインプレッションを稼いでいるか。どのキーワードでクリックされているか。

ExcelやGoogleスプレッドシートでの管理が効率的だ。サーチコンソールからデータをエクスポートし、スプレッドシートに貼り付ける。毎月同じフォーマットで記録すれば、時系列での比較が容易になる。一つのシートに1月から12月までのデータを並べれば、年間の推移が一目で分かる。

前月比と前年同月比の分析が重要だ。前月と比べてインプレッションが増えたか減ったか。増えたなら、何が要因か。新規記事を公開したか、既存記事をリライトしたか。減ったなら、競合が強くなったか、アルゴリズムが変わったか。前年同月比を見れば、季節性も把握できる。12月にアクセスが増えるのは、年末商戦の影響か。3月に減るのは、新生活準備で検索行動が変わるからか。

傾向の可視化には、グラフが有効だ。折れ線グラフでインプレッション数の推移を示す。棒グラフでページ別のクリック数を比較する。視覚化することで、数字だけでは見えなかったパターンが浮かび上がる。経営者やチームメンバーへの報告も、グラフがあれば説得力が増す。

成功パターンと失敗パターンの抽出

データを蓄積するだけでは意味がない。そこから学ぶことが重要だ。伸びている記事の共通点を見つける。インプレッションが月1000回を超える記事をリストアップする。これらの記事に共通するものは何か。

キーワード選定が適切だったか。ロングテールキーワードで競合が弱かったか。タイトルに数字が入っていたか。文字数が3000字を超えていたか。内部リンクが5本以上あったか。画像が10枚以上使われていたか。こうした要素を一つずつチェックし、成功パターンを明文化する。

伸び悩んでいる記事の問題点も同様に分析する。インプレッションが月100回未満の記事は、何が問題か。検索ボリュームが少ないキーワードを選んでしまったか。競合が強すぎたか。タイトルが魅力的でなかったか。コンテンツの質が低かったか。

仮説の立て方が、改善の質を決める。「文字数が多いほうが上位表示される」という仮説を立てたなら、次に書く記事で検証する。5000字の記事を書いて、3ヶ月後に結果を見る。仮説が正しければ、今後も長文を書く。間違っていれば、別の仮説を立てる。

次の施策への応用がPDCAの核心だ。成功パターンを見つけたら、それを他の記事にも適用する。タイトルに数字を入れることが効果的だと分かったら、既存記事のタイトルを見直す。「SEO対策の方法」を「SEO対策の方法7選」に変える。これだけでCTRが改善する可能性がある。

検索クエリから新規コンテンツのヒントを得る

サーチコンソールの検索クエリレポートは、ユーザーのニーズを教えてくれる宝の山だ。自分が想定していなかったキーワードで、ユーザーがサイトにたどり着いている。これは偶然ではなく、必然だ。

意外なキーワードでの流入は、よくある。「SEO対策 初心者」の記事を書いたのに、「SEO対策 本」「SEO対策 費用」「SEO対策 外注」といったキーワードでも流入がある。これは、記事の中でこれらのトピックに軽く触れたからだ。ユーザーは、これらのキーワードで詳しい情報を求めている。

ユーザーの潜在ニーズを掘り起こす。「SEO対策 費用」で流入があるなら、費用に関する詳細な記事を書く。相場、料金体系、費用対効果、コスト削減方法。こうした情報を網羅的にまとめる。すると、このキーワードでのインプレッションとクリックが増える。

関連キーワードの深掘りは、コンテンツの幅を広げる。「SEO対策」という軸に対して、「初心者」「費用」「外注」「ツール」「事例」といった枝を伸ばしていく。一つの軸から、10本、20本の記事が生まれる。これがトピッククラスターの考え方だ。

コンテンツギャップの発見も重要だ。競合サイトが書いていて、自分のサイトにないテーマは何か。サーチコンソールのデータと、競合のコンテンツを比較する。競合がカバーしているキーワードで、自分のサイトが流入を得ていないなら、それがコンテンツギャップだ。そこを埋める記事を書く。

競合との比較でポジショニングを明確化

サーチコンソールのデータは、自社だけを見ていても不十分だ。競合と比較することで、相対的な位置が分かる。勝てているキーワードと負けているキーワードを明確にする。

勝てているキーワードは、さらに強化する。すでに上位表示されているなら、その記事をより充実させる。関連記事を増やし、内部リンクを強化し、定期的に更新する。1位を守り続けることで、被リンクが自然に増え、ドメインパワーが高まる。

負けているキーワードは、戦略を見直す。そもそも戦うべきキーワードか。競合が強すぎて勝ち目がないなら、別のキーワードを狙ったほうがいい。リソースを分散させず、勝てる戦いに集中する。

差別化ポイントの明確化が、長期的な成功につながる。競合と同じことをしても、後発では勝てない。独自の視点、独自のデータ、独自の事例。何か一つ、他にはない価値を提供する。それが、サイトの個性になり、ブランドになる。

戦略の見直しは、四半期に一度行うといい。3ヶ月間のデータを総括し、次の3ヶ月の方針を決める。どのキーワードに注力するか。どのページを改善するか。新規記事は何本書くか。PDCAサイクルを回し続けることで、サイトは確実に成長する。

この項のまとめ

  • 月次レポートで総インプレッション、総クリック数、平均CTR、平均掲載順位を記録。前月比・前年同月比で傾向を分析
  • 伸びている記事の共通点を明文化して成功パターンを抽出。仮説を立てて検証し、次の施策に応用する
  • 検索クエリから意外なキーワードを発見し、潜在ニーズを掘り起こす。関連キーワードで記事を深掘りしてトピッククラスターを構築
  • 競合サイトとの比較でコンテンツギャップを発見。勝てているキーワードは強化し、負けているキーワードは戦略見直し
  • 四半期に一度、3ヶ月のデータを総括して次の方針を決定。PDCAサイクルを回し続けることでサイトが確実に成長

SEOのツールをマスターしよう

SEOツールの全体像を解説「 SEO対策の基本とツール完全ガイド」

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編集後記

ツールを導入しても使いこなせない。データの海に溺れてしまう。多くのサイト運営者が抱えるこの悩みは、本質を見失っているからだ。サーチコンソールで見るべきは、たった3つの指標だ。インプレッション、クリック率、掲載順位。この3つから、何を改善すべきかが見える。インプレッションが増えなければ、企画力の問題。CTRが低ければ、タイトルの問題。掲載順位が4〜10位なら、あと一歩でブレイクスルーできる。伊藤が「これを無視せず、きちんと直していく」と語ったように、地道な改善の積み重ねが成功への道だ。完璧なサイトを目指す必要はない。今日、一つのエラーを直す。明日、一つのタイトルを改善する。その小さな一歩が、半年後、1年後の大きな成果につながる。サーチコンソールを開き、今日できることから始めよう。

ボンセレ代表 伊藤祐介

講師紹介

株式会社ボンセレ 代表取締役
伊藤 祐介(いとう ゆうすけ)

 

❖ プロフィール

東京出身の“氷河期世代”。
身長182cm、見た目は大きめ、中身は細かめ。

公務員からスタートし、フレンチレストラン、築地魚河岸、ワインショップなど、業種も業界も超えて現場を経験。のちに広告代理店、EC支援、WEB制作へと軸足を移し、現在は複数企業のWEB戦略を支援。実務と現場視点に根ざした教育者です。


❖ 専門領域

  • WEBマーケティング/EC戦略立案

  • コンテンツ企画・制作

  • 広告運用(SNS/検索)

  • 顧客接点の設計とCRM支援


❖ 教育観・講義スタンス

「右腕は、育てることができる」。
人は“経験”だけでは変わりません。
変化するのは、思考のプロセスを鍛えたとき。

私は現場から、企画・広告・制作・接客・分析まで、すべての工程を実践してきました。だからこそ、「考えて動ける右腕」を育てるには、手を動かし、振り返り、問い直す場が必要だと考えています。


❖ 右腕育成にかける思い

「社長の想いを言語化し、現場に翻訳する存在」が右腕です。
単なるWEB人材ではなく、“経営を理解し、支える人材”を育てたい
ひとつの強みを見つけ、自分にしかできない貢献の形を築く――
それが、このプログラムのゴールです。


❖ 私のルーツ

  • 仮説実験授業(板倉聖宣 提唱)
     科学的な思考法とディスカッションベースの学びに影響を受ける。

  • プログラミングとの出会い
     高校時代にBasicからスタート。VBAでの業務改善からWEB制作へ。


❖ 好きなこと

食べること・飲むこと・考えること。
最近のブームは激辛料理(ブートジョロキア)。

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日時:2025年12月16日(火)17時~
開催方法:オンライン開催(ZOOM)
テーマ:ライティングは内製化の時代へ

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