
複数サイト運営の判断基準:新旧サイトの統廃合を決める3つのチェックポイント
※この記事はオンラインサロンの内容を元に作成しています。
「新しいサイトを作ったのに検索順位が上がらない」「旧サイトと新サイトの2つを運営しているが、どちらも成果が出ない」――このような悩みを抱えるWEB担当者は少なくありません。複数サイトの並存は、ドメインパワーの分散やカニバリゼーションを引き起こし、SEO評価を大きく損なう原因となります。本記事では、Googleアナリティクスとサーチコンソールを活用した統廃合判断の実践手法を、現場の事例をもとに解説します。
- サイトリニューアル後も旧サイトを残しており、どちらを優先すべきか判断できていないWEB担当者
- 複数のサイトやブログを運営しているが、更新作業が分散して成果が見えない中小企業のマーケティング責任者
- 新規サイトの検索順位が思うように上がらず、システム的な問題かコンテンツ品質の問題か切り分けたい経営層

目次
なぜ複数サイトが並存してしまうのか?中小企業にありがちな3つのパターン
複数サイトの並存は、計画的な戦略というより「成り行き」で発生するケースが大半です。WEB担当者や経営層が意図せず陥る典型的なパターンを理解することで、自社の状況を客観視できるようになります。
リニューアル時に旧サイトを残してしまうケース
最も多いのが、サイトリニューアルの際に「念のため」旧サイトを残してしまうパターンです。新サイトの動作確認期間として一時的に並存させるつもりが、いつの間にか数ヶ月、場合によっては1年以上そのままになってしまいます。
旧サイトには長年蓄積されたコンテンツ量があり、一定の自然流入も維持しています。一方、新サイトはデザインやUI/UXは優れているものの、インデックス登録が進まず検索順位が上がりません。この状態で「どちらかを閉じる」という判断ができず、両方を中途半端に運用し続ける結果となります。
特に問題なのは、旧サイトへの301リダイレクト設定を行わないまま放置するケースです。Googleからは2つの独立したサイトとして認識され、ドメインパワーが分散します。さらに、同じ企業名や商品名で両方のサイトが検索結果に表示されると、ユーザーから見ても「どちらが正式なサイトなのか」混乱を招きます。
業者提案で新ツールを導入したが効果が見えないケース
「簡単に更新できる」「AIが自動で記事を生成する」といった営業トークに惹かれ、新しいCMSツールを導入するケースも増えています。ディスカッションの事例でも、既存のWordPressサイトとは別に、更新しやすい新システムでサイトを構築したものの、検索順位が全く上がらない状況が発生していました。
この背景には、ツールベンダーが「SEO対策済み」と謳っていても、実際にはHタグ構造や内部リンク設計が不十分であったり、自動生成されるコンテンツの品質が低く、Googleにインデックスすらされていないという問題があります。特に2024年以降、低品質なAIコンテンツへのGoogleの評価は厳しくなっており、大量投稿がかえってサイト全体の評価を下げるリスクも指摘されています。
契約期間が1年などと決まっているため、「もう少し様子を見よう」と判断を先延ばしにしがちですが、その間も旧サイトと新サイトの二重運用コストが発生し続けます。月額費用だけでなく、担当者の工数も分散するため、結果的にどちらのサイトも十分な運用ができない悪循環に陥ります。
部門・サービスごとに独立サイトを作ってしまったケース
事業拡大に伴い、「新サービス専用のサイトを作ろう」「この事業部は独自ドメインで展開しよう」と、良かれと思って複数サイトを立ち上げるパターンもあります。一見すると専門性が高まり、ターゲット層に刺さるサイトができそうですが、SEOの観点では逆効果になることが少なくありません。
例えば、リユースショップが本体サイトとは別に「遺品整理専門サイト」を立ち上げたとします。しかし検索ユーザーから見れば、同じ企業が提供するサービスであり、むしろ本体サイト内のコンテンツとして充実させたほうが、サイト全体のドメインパワーが高まり、検索上位を狙いやすくなります。
さらに、地域名を含むキーワードで複数サイトが競合してしまうカニバリゼーションも発生します。「T市 遺品整理」で検索した際、自社の本体サイトと専門サイトが両方表示されれば良いですが、実際にはGoogleが片方しか表示しなかったり、両方とも順位が伸び悩むケースが多いのです。
複数サイト運営は「意図的な戦略」として行うべきであり、明確な役割分担と運用リソースの確保ができない限り、統合を検討すべきタイミングと言えます。
この項のまとめ
- 複数サイト並存の多くは「成り行き」で発生し、リニューアル時に旧サイトを「念のため」残したまま放置するケースが最多
- 301リダイレクト未設定の並存状態はドメインパワーを分散させ、ユーザーにも「どちらが正式サイトか」混乱を与える
- 「SEO対策済み」を謳う新ツール導入でも、Hタグ構造の不備や低品質AIコンテンツによりインデックスされないリスクがある
- 契約期間中の「様子見」判断は二重運用コストと担当者工数の分散を招き、どちらのサイトも中途半端な運用に陥る
- 部門・サービス別の独立サイトは一見専門性が高まるが、カニバリゼーションを引き起こし、むしろ本体サイト内のコンテンツ充実が有効

複数サイト運営がSEOに与える3つのデメリット
複数サイトを並存させることで生じるSEO上の問題は、単なる「効率の悪さ」に留まりません。検索エンジンの評価メカニズムそのものに影響を与え、本来得られるはずの検索順位やアクセス数を大きく損なう結果を招きます。ここでは、現場で頻繁に見られる3つの具体的なデメリットを解説します。
サイトパワーの分散:ドメイン評価が高まらない
SEOにおいて最も重要な概念の一つが「ドメインパワー」です。これは、そのドメイン全体がGoogleからどれだけ信頼されているかを示す指標であり、被リンク数、コンテンツ量、更新頻度、ユーザーエンゲージメントなど複数の要素で構成されます。
複数サイトを運営すると、本来1つのドメインに集約できるはずのこれらの評価が分散してしまいます。例えば、月間20本の記事を投稿できるリソースがあるとして、2つのサイトに10本ずつ分散させるより、1つのサイトに20本集中させたほうが、Googleからの評価は高まります。「定期的に質の高いコンテンツを投稿している信頼できるサイト」という認識を得やすくなるためです。
さらに、外部サイトからの被リンクも分散します。ブログ記事がSNSでシェアされたり、他社サイトで紹介されたりする際、リンク先が2つのドメインに分かれてしまうと、それぞれのサイトが得られる被リンク評価は半減します。特に中小企業のような認知度がまだ十分でない段階では、この分散は致命的です。
Googleのクローラーにも影響があります。クローラーは各サイトを巡回する頻度に限りがあり、2つのサイトを運営していれば、それぞれのクロール頻度は下がります。新しい記事を投稿してもインデックス登録が遅れ、検索結果に反映されるまでの時間が長くなるのです。
カニバリゼーションのリスク:同じキーワードで競合してしまう
カニバリゼーション(共食い)とは、自社の複数ページが同じキーワードで検索結果に表示され、結果的にどちらも上位表示できない現象を指します。複数サイト運営では、この問題がサイト単位で発生します。
ディスカッションの事例では、リユースショップが本体サイトと新サイトを並存させていましたが、どちらも「地域名+買取」といったキーワードでターゲットが重複していました。Googleは同じ企業の複数サイトを区別せず、「どちらを検索結果に表示すべきか」判断に迷います。その結果、両方のサイトが10位前後をうろつく状態が続き、どちらも1ページ目に安定して表示されないという事態に陥ります。
さらに問題なのは、一方のサイトが検索結果に表示されても、ユーザーが期待する情報が見つからず別のサイトを探す場合です。Googleはユーザーの行動データ(直帰率や滞在時間)も評価に含めるため、「このサイトはユーザーの課題を解決できていない」と判断され、両方のサイトの評価が下がる悪循環に陥ります。
特に地域ビジネスでは、「市区町村名+サービス名」といった検索ボリュームが限られたキーワードで勝負するため、カニバリゼーションの影響は深刻です。競合他社との戦いに集中すべきところ、自社サイト同士で順位を奪い合う結果となり、本来獲得できるはずの検索流入を逃してしまいます。
運用コストの増大:更新作業が浅く広くなる
複数サイト運営の最も現実的な問題は、担当者の工数分散です。各サイトにログインし、それぞれのCMS操作方法を覚え、異なる管理画面でGoogleアナリティクスやサーチコンソールを確認する――この作業だけで、1つのサイトに集中する場合の2倍以上の時間がかかります。
ディスカッションでも「1日があっという間に終わってしまう」という声がありましたが、これは複数チャネルの運用による典型的な疲弊状態です。ブログ更新、LINE運用、SNS投稿、広告運用と、やるべきことは増え続ける一方で、それぞれの施策が中途半端になり、成果が見えにくくなります。
さらに、システムごとに契約費用も発生します。WordPressのサーバー代に加えて、新ツールの月額利用料、場合によっては複数のドメイン管理費用も必要です。これらのコストは「年間で見るとそれほど高くない」と思われがちですが、それ以上に問題なのは「機会損失」です。
分散した工数を1つのサイトに集中させていれば、より深い分析、質の高いコンテンツ作成、効果的な内部リンク設計などに時間を使えます。SEOは「積み重ね」が重要であり、浅く広くの運用では、競合他社に追いつくことすら困難になるのです。
この項のまとめ
- ドメインパワーは被リンク・コンテンツ量・更新頻度などで構成されるため、複数サイトへの分散は各サイトのGoogle評価を低下させる
- 同じリソースなら2サイトに10本ずつより1サイトに20本集中させるほうが「信頼できるサイト」として認識され、クローラー巡回頻度も高まる
- カニバリゼーションにより自社サイト同士が同一キーワードで競合し、両方とも検索上位に安定表示できない状態が発生する
- 地域ビジネスでは検索ボリュームが限られるため、競合他社と戦うべきところを自社サイト間で順位を奪い合う結果となる
- 複数CMS操作・管理画面確認・契約費用といった直接コストに加え、本来集中すべき施策に時間を使えない機会損失が最大の問題

統廃合を決める前に確認すべき3つのチェックポイント
複数サイトの統廃合を判断するには、感覚や印象ではなく「データに基づいた客観的な評価」が不可欠です。ここでは、Googleアナリティクスとサーチコンソールを活用した具体的なチェック方法を解説します。特にチェック②のインデックス状況確認は、統廃合判断の最重要ポイントとなります。
チェック①:Googleアナリティクスで自然流入数を比較する
最初に確認すべきは、各サイトがどれだけのオーガニック検索流入を獲得しているかです。Googleアナリティクスにログインし、「集客」→「すべてのトラフィック」→「チャネル」と進むと、Organic Searchの数値が確認できます。
重要なのは、単月のデータではなく「最低6ヶ月間のトレンド」を見ることです。新サイトは立ち上げ直後の流入が少なくても、徐々に伸びている可能性があります。逆に、旧サイトは過去の資産で一定の流入を維持していても、更新が止まっていれば徐々に減少傾向を示すはずです。
さらに、「行動」→「サイトコンテンツ」→「ランディングページ」で、どのページが流入を稼いでいるかを確認します。旧サイトの流入が多くても、実は特定の1〜2ページに集中しているケースもあります。その場合、そのページだけを新サイトに移行し、301リダイレクトで評価を引き継ぐという選択肢も考えられます。
コンバージョン設定をしている場合は、流入数だけでなく「どちらのサイトが実際に成果を出しているか」も重要な判断材料です。アクセス数は少なくても、問い合わせや購入につながっているサイトを優先すべきです。
チェック②:サーチコンソールでインデックス状況を確認する【最重要】
統廃合判断で最も見落とされがちなのが、「そもそもサイトがGoogleにインデックスされているか」という基本確認です。ディスカッションの事例でも、後の調査で新サイトのブログ記事がインデックスされていないことが判明しました。
Googleサーチコンソールで「インデックス作成」→「ページ」を開くと、「インデックス登録済み」と「インデックス未登録」のページ数が表示されます。ここで投稿した記事数とインデックス数に大きな乖離がある場合、深刻な問題が潜んでいます。
インデックスされていない場合の2つの原因を切り分ける必要があります。
原因A:低品質コンテンツと判定されている(AI生成コンテンツの落とし穴)
2024年以降、Googleは低品質なAI生成コンテンツへの対策を強化しています。特に「誰でも書ける薄い内容」「一次情報や独自の視点がない」「他サイトと類似した構成」のコンテンツは、インデックス対象から外される傾向が強まっています。
ディスカッションの事例では、インスタグラム投稿をそのままブログ化したコンテンツが大量にあり、これが「質の低いサイト」と評価された可能性が指摘されました。短文のSNS投稿をそのままブログにしても、検索ユーザーが求める情報量や専門性を満たせず、結果的にサイト全体の評価を下げるリスクがあります。
原因B:システム的な欠陥(robots.txt、noindexタグ、クロール設定ミス)
もう一つの可能性は、技術的な設定ミスです。サイト構築時にテスト環境用の「noindex」タグを外し忘れていたり、robots.txtファイルでクローラーをブロックしている場合があります。CMSツールによっては、デフォルト設定でブログカテゴリが検索エンジンから除外されているケースもあります。
サーチコンソールの「設定」→「クロールの統計情報」で、Googlebotがサイトを適切に巡回しているか確認できます。クロール数が極端に少ない場合は、システム側の問題を疑うべきです。
判断基準:インデックスされていないサイトは統合候補から外す
もし新サイトのブログ記事が大量にインデックス未登録であれば、そのサイトは「SEO上、存在していないに等しい」状態です。この場合、統廃合以前に「なぜインデックスされないのか」の原因究明が最優先となります。場合によっては、そのサイトを閉じて旧サイトに集中するか、システムを根本から見直す判断が必要です。
チェック③:運用実態とコンテンツ品質を評価する
最後に、数値では測れない「運用の現実」を確認します。各サイトの更新頻度は適切か、担当者は無理なく運用できているか、コンテンツに独自性があるかを評価します。
内部リンク構造も重要なチェックポイントです。記事同士が適切にリンクされているか、カテゴリー階層は整理されているか、サイト内回遊を促す導線があるかを確認します。どちらかのサイトが「記事を投稿しているだけで構造化されていない」状態なら、SEO評価が上がりにくいサイトと判断できます。
また、重複コンテンツの有無も確認が必要です。同じ企業情報や商品説明が両サイトにそのまま掲載されていると、Googleは片方を「コピーコンテンツ」と見なし、評価を下げる可能性があります。
この項のまとめ
- Googleアナリティクスで最低6ヶ月間のオーガニック流入トレンドを比較し、単月データではなく成長性や減少傾向を見極める
- ランディングページ分析で流入が特定ページに集中している場合、そのページのみ301リダイレクトで移行する選択肢も検討できる
- サーチコンソールのインデックス状況確認が最重要で、投稿記事数とインデックス数の乖離は深刻な問題のサイン
- インデックス未登録の原因は「低品質AIコンテンツ判定」と「システム設定ミス(noindexタグ・robots.txt)」の2パターンがあり切り分けが必須
- インデックスされていないサイトはSEO上存在しないに等しく、統廃合判断以前に原因究明またはサイト閉鎖の検討が必要

データから判断する「統合すべきサイト」「残すべきサイト」の見極め方
3つのチェックポイントでデータを収集したら、次は具体的な判断基準に沿って統廃合の意思決定を行います。ここでは、現場で使える実践的な判断フローを示します。重要なのは「どちらのサイトが良い・悪い」ではなく、「経営資源をどこに集中させるべきか」という視点です。
統合すべきケース①:新サイトの流入が旧サイトの30%未満
最も明確な判断基準は、自然流入数の比較です。新サイトを立ち上げて6ヶ月以上経過しているにも関わらず、旧サイトのオーガニック流入の30%にも満たない場合、新サイトへの移行戦略は失敗していると判断すべきです。
例えば、旧サイトが月間1,000セッションの自然流入を獲得しているのに対し、新サイトが200セッション程度しか得られていない状況です。この場合、新サイトで継続運用してもドメインパワーの蓄積には長い時間がかかり、その間も旧サイトとの二重運用コストが発生し続けます。
特に契約型のCMSツールを使用している場合、月額費用と担当者の工数を考えると、旧サイトに集中したほうが費用対効果は高くなります。新サイトで学んだUI/UX改善のノウハウを旧サイトに反映させ、コンテンツ投稿に注力するほうが賢明な選択です。
ただし例外もあります。新サイトが特定の高単価サービスに特化しており、流入数は少なくてもコンバージョン率や顧客単価が高い場合です。この場合は単純な流入数比較ではなく、売上貢献度で判断する必要があります。
統合すべきケース②:更新が止まっており放置状態
どちらかのサイトが「作ったきり」で更新されていない場合も、統合の対象となります。サーチコンソールで過去3ヶ月のクロール統計を見ると、更新のないサイトはGooglebotの巡回頻度が極端に低下しています。
放置されたサイトは、徐々に検索順位が下がり、最終的にはほとんど流入がなくなります。しかし完全にゼロにはならないため「まだ少しアクセスがある」と判断を先延ばしにしがちです。この状態は最も危険で、ドメイン費用やサーバー代といった固定費だけが発生し続ける「不良資産」となります。
さらに、古い情報が掲載されたまま放置されていると、ユーザーに誤解を与えるリスクもあります。営業時間やサービス内容が変更されているのに旧情報のまま、電話番号が古いままといった状態は、信頼性を損ないます。
この場合の判断は明確です。放置サイトは閉鎖し、301リダイレクトで評価を稼働中のサイトに統合します。もし放置サイトに流入があるページがあれば、そのコンテンツだけを移行すれば良いのです。
統合すべきケース③:ブログ記事が大量にインデックス未登録
前項で詳しく解説したとおり、新サイトのブログ記事が大量にインデックスされていない場合、そのサイトは統合候補の筆頭です。特に低品質なAIコンテンツや、インスタグラム投稿の転載など「薄い内容」が大量に投稿されていると、サイト全体が「低品質サイト」と評価されるリスクがあります。
ディスカッションの事例では、パート社員が毎朝投稿する習慣ができていたため、更新頻度は高かったものの、内容が薄くインデックスされていませんでした。この状態を放置すると、今後追加するコンテンツも同様に評価されず、いつまで経っても検索順位が上がりません。
この場合、2つの選択肢があります。一つは、低品質コンテンツを大量削除して再スタートを切る方法。もう一つは、そのサイトを諦めて旧サイトでの運用に戻す方法です。後者のほうが現実的なケースが多く、特に契約更新のタイミングが近い場合は、無理に新サイトを立て直すより、実績のある旧サイトに集中すべきです。
残すべきケース①:異なるテーマで明確な役割分担ができている
一方、複数サイトを維持すべきケースもあります。最も重要な基準は「ターゲット顧客と検索キーワードが明確に異なるか」です。
例えば、BtoB向けの企業サイトとBtoC向けのECサイトを分けている場合、検索意図が全く異なるため、カニバリゼーションは発生しません。また、全国展開する本体サイトと、特定地域に特化した地域サイトを分ける戦略も、適切に運用すれば効果的です。
重要なのは「分ける理由」が明確で、それぞれのサイトで異なるコンテンツ戦略を展開できることです。単に「なんとなく分けたほうが良さそう」では、結局は運用が中途半端になります。
残すべきケース②:それぞれが独立した集客成果を出している
両方のサイトがそれぞれ月間数千単位の自然流入を獲得しており、コンバージョンも発生している場合は、統合する必要はありません。むしろ、それぞれのサイトを伸ばす戦略を考えるべきです。
ただしこのケースは稀で、中小企業の現実としては「どちらも中途半端」な状態が大半です。両方を維持する判断をする前に、「本当に2サイト運用する人的リソースがあるか」を冷静に評価する必要があります。
この項のまとめ
- 新サイト立ち上げ6ヶ月以上経過しても旧サイトの自然流入の30%未満なら移行戦略は失敗と判断し、旧サイトへの集中を検討すべき
- 放置サイトはクロール頻度が低下し検索順位も下がるが完全にゼロにならないため、固定費だけ発生する「不良資産」となるリスクがある
- ブログ記事が大量にインデックス未登録の場合、サイト全体が低品質評価されるため、契約更新前なら実績ある旧サイトへの回帰が現実的
- BtoB/BtoC分離や全国/地域特化など、ターゲット顧客と検索キーワードが明確に異なる場合はカニバリゼーションを避けられ複数サイト維持が有効
- 両サイトが独立して数千単位の自然流入と成果を出している稀なケースを除き、中小企業は「どちらも中途半端」な状態に陥りやすく人的リソース評価が必須

統合を決めた後に必要な4つのSEO対策
統廃合の判断ができたら、次は「どのように統合するか」という技術的な実装が重要になります。ここで手順を誤ると、せっかく蓄積したSEO評価を失い、検索順位が大幅に下落するリスクがあります。正しい手順で進めれば、統合後に検索順位が上昇するケースも多く見られます。
301リダイレクトの正しい設定方法
統合における最も重要な技術対策が「301リダイレクト」です。これは「このページは恒久的に別のURLに移転しました」とGoogleに伝える設定で、旧ページが持っていたSEO評価を新ページに引き継ぐことができます。
ページ単位でのリダイレクト設定が基本です。よくある失敗例は、閉鎖するサイトの全ページをトップページにリダイレクトしてしまうケースです。これでは「関連性のないリダイレクト」と判断され、評価が引き継がれない可能性があります。
正しい方法は、旧サイトの「引越し買取のページ」を新サイトの「引越し買取のページ」へ、旧サイトの「遺品整理のページ」を新サイトの「遺品整理のページ」へ、というように対応するページ同士をリダイレクトすることです。
WordPressであれば「Redirection」などのプラグインで簡単に設定できます。サーバー側の.htaccessファイルで設定する方法もありますが、技術的な知識が必要なため、専門家に依頼するか、プラグインの利用をおすすめします。
リダイレクト設定後は、必ずGoogleサーチコンソールの「URL検査ツール」で、リダイレクトが正しく機能しているか確認してください。旧URLを入力して「インデックス登録をリクエスト」すると、Googleが新URLを認識するプロセスが早まります。
内部リンク構造の最適化
統合したサイト内で、記事同士が適切にリンクされているかを見直します。特に重要なのが「カテゴリー別の総合ページ」を作成し、そこに関連記事からリンクを集める構造です。
ディスカッションでも伊藤が提案していたように、例えば「引越し買取」に関する記事が8本あるなら、それらをAIに読み込ませて総合的な記事を作成します。その総合記事をカテゴリーのメインページとして設定し、個別の8本の記事からそこへリンクを貼ります。「引越し買取について詳しく知りたい方はこちら」といった形です。
この構造により、Googleは「このサイトは引越し買取について体系的な情報を提供している」と評価し、関連キーワードでの検索順位が上昇する可能性が高まります。さらに、ユーザーにとっても情報の網羅性が高まり、サイト内回遊率や滞在時間が伸びるため、ユーザーエクスペリエンスの観点からもプラスです。
内部リンクは「1日1〜2記事ずつ」でも構いません。一度に全てを完璧にする必要はなく、重要なカテゴリーから順番に整備していく方法が現実的です。
タイトルタグとメタディスクリプションの継承と最適化
統合先のサイトに移行する際、旧サイトで検索順位が高かったページのタイトルタグとメタディスクリプションは、できるだけ継承します。特にタイトルタグは検索順位に大きく影響するため、安易に変更すると順位が下がるリスクがあります。
ただし、旧サイトのタイトルが「サービス名 | 会社名」といった簡素なものだった場合は、統合を機に最適化するチャンスでもあります。検索意図を満たすキーワードを含め、かつ30文字程度に収めるのが基本です。
メタディスクリプションは直接的な順位要因ではありませんが、検索結果でのクリック率に影響します。120文字程度で、そのページの内容を具体的に説明し、ユーザーが「このページに自分の求める情報がありそうだ」と感じる文章にします。
統合後は、Googleサーチコンソールの「検索パフォーマンス」で、各ページのクリック率を定期的に確認してください。表示回数は多いのにクリック率が低いページは、タイトルやメタディスクリプションの改善余地があります。
Googleサーチコンソールへのアドレス変更通知
サイト統合が完了したら、Googleサーチコンソールで「アドレス変更ツール」を使って正式に通知します。この手順により、Googleは「サイトが移転した」ことを認識し、旧サイトのインデックスを新サイトに切り替えるプロセスがスムーズになります。
手順は以下のとおりです。まず、旧サイトと新サイトの両方をサーチコンソールに登録します。次に、旧サイトのプロパティで「設定」→「アドレス変更」を選択し、移転先の新サイトを指定します。この操作により、Googleは優先的に新サイトをクロールし、検索結果の表示も新サイトに切り替わります。
注意点として、アドレス変更通知を行う前に、必ず301リダイレクトが正しく設定されているか確認してください。リダイレクトが不完全な状態で通知すると、Googleが混乱し、両方のサイトの評価が下がる可能性があります。
また、旧サイトのサーチコンソールアカウントは統合後も最低6ヶ月は残しておきます。移行プロセスの進捗や、エラーが発生していないかを監視するためです。完全に移行が完了し、旧サイトへのアクセスがゼロになったことを確認してから、旧サイトのプロパティを削除しても遅くありません。
この項のまとめ
- 301リダイレクトは「ページ単位」での対応が基本で、全ページをトップページにリダイレクトすると関連性がないと判断されSEO評価が引き継がれない
- カテゴリー別に総合ページを作成し個別記事からリンクを集める構造により、Googleは「体系的な情報提供サイト」と評価し検索順位上昇の可能性が高まる
- 旧サイトで検索順位が高かったページのタイトルタグは継承を基本とし、安易な変更は順位下落リスクがあるため慎重に判断する
- Googleサーチコンソールの「アドレス変更ツール」で正式通知することで、旧サイトのインデックスを新サイトへスムーズに切り替えられる
- アドレス変更通知前に301リダイレクトの完全設定を確認し、旧サイトのサーチコンソールアカウントは移行監視のため最低6ヶ月は維持する

統合後3ヶ月間のモニタリングで見るべき指標
サイト統合は「設定して終わり」ではありません。統合後の3ヶ月間は、移行が正しく機能しているか、SEO評価が適切に引き継がれているかを注意深く監視する期間です。この期間のデータ分析により、追加対策の必要性や、統合判断の妥当性を検証できます。
自然流入数の推移(一時的な下落は許容範囲)
統合直後は、自然流入数が一時的に減少するケースがあります。これはGoogleが新しいURL構造を認識し、インデックスを再構築する過程で発生する自然な現象です。重要なのは「どの程度の下落か」「回復傾向があるか」という2点です。
許容範囲の下落は、統合前と比較して10〜20%程度の減少で、かつ統合後2週間から1ヶ月で回復基調に入るパターンです。Googleアナリティクスで週単位のトレンドを見ると、最初の2週間は下がっても、3週目以降から徐々に戻り始めます。
問題がある下落は、統合前の50%以上の流入減少が1ヶ月以上続くケースです。この場合、301リダイレクトの設定ミス、重要なページの移行漏れ、またはrobots.txtの設定エラーなど、技術的な問題が潜んでいる可能性が高いため、直ちに原因調査が必要です。
特に注意すべきは「流入が減った特定のページ」を特定することです。ランディングページレポートで前年同月比や前月比を確認し、どのページの流入が減っているかを把握します。もし重要なページの流入が大きく減っているなら、そのページのリダイレクト設定やコンテンツ内容を再確認してください。
逆に、統合が成功すれば、3ヶ月後には統合前を上回る自然流入を獲得できるケースもあります。これは、サイトパワーの集約により、個別ページの検索順位が全体的に上昇するためです。
主要キーワードの検索順位変動
Googleサーチコンソールの「検索パフォーマンス」で、統合前後の検索順位変動を追跡します。特に注視すべきは「事業の柱となる主要キーワード」での順位です。
例えば「地域名+買取」「地域名+遺品整理」といったコアキーワードで、統合前は10位前後だったものが、統合後に5位以内に上昇すれば、統合は成功していると判断できます。逆に、20位以下に後退した場合は、何らかの問題が発生しています。
注意すべきは、統合直後の1〜2週間は順位が不安定に変動することです。Googleが新しいサイト構造を評価している過程で、日ごとに順位が大きく上下するのは正常な挙動です。この期間は「平均掲載順位」で見るよりも、「どのページがどのキーワードで表示されているか」というクエリとページの対応関係を確認することが重要です。
もし重要なキーワードでの表示回数が激減している場合は、そのキーワードに対応するページが正しく移行されていない可能性があります。URL検査ツールでインデックス状況を確認し、必要であれば再度インデックス登録をリクエストしてください。
インデックス登録状況の確認
サーチコンソールの「インデックス作成」→「ページ」で、統合先サイトのインデックス数が順調に増えているかを週次で確認します。理想的には、統合後1ヶ月以内に、移行した全ページがインデックス登録されるべきです。
特に重要なのは「インデックス未登録」の理由です。「クロール済み – インデックス未登録」と表示される場合、Googleはページを確認したものの、品質が不十分と判断してインデックスしなかったことを意味します。これは統合前から品質に問題があったページか、または統合時のコンテンツ調整で問題が生じた可能性があります。
「検出 – インデックス未登録」の場合は、Googleがページの存在を認識しているものの、まだクロールできていない状態です。この場合は時間が解決するケースが多いですが、重要なページであれば手動でインデックス登録をリクエストします。
旧サイトのインデックス数が徐々に減少し、新サイトのインデックス数が増加していく推移が理想的です。統合後3ヶ月経っても旧サイトのインデックスが多く残っている場合は、301リダイレクトが正しく機能していない可能性があります。
H3-4:コンバージョン数への影響
最終的に最も重要な指標は「売上や問い合わせにつながっているか」です。Googleアナリティクスでコンバージョン設定をしている場合、統合前後でコンバージョン数とコンバージョン率を比較します。
自然流入数が多少減少しても、コンバージョン率が上がっていれば、統合は成功と言えます。これは「質の低い流入が減り、購買意欲の高いユーザーが集まるようになった」ことを意味するためです。統合を機にコンテンツやUI/UXを改善した効果が表れているケースです。
逆に、流入数は維持できているのにコンバージョンが減少している場合は、導線設計やコンテンツ内容に問題がある可能性があります。ヒートマップツールなどを使って、ユーザーがどこで離脱しているかを分析し、改善策を講じる必要があります。
統合後3ヶ月間は週次でこれらの指標をスプレッドシートなどに記録し、変動の傾向を可視化することをおすすめします。数値の変化だけでなく「なぜその変化が起きたのか」を仮説立てて検証することが、次の改善アクションにつながります。
この項のまとめ
- 統合直後の自然流入10〜20%減少は許容範囲で2週間から1ヶ月で回復基調が正常、50%以上の減少が1ヶ月以上続く場合は技術的問題を疑う
- 主要キーワードの検索順位は統合直後1〜2週間は不安定に変動するため、日次ではなく平均掲載順位とクエリ・ページ対応関係で評価する
- 統合後1ヶ月以内に移行した全ページがインデックス登録されるのが理想で、「クロール済み - インデックス未登録」は品質問題のサイン
- 旧サイトのインデックス数が徐々に減少し新サイトが増加する推移が正常で、3ヶ月後も旧サイトのインデックスが多い場合は301リダイレクト設定を再確認
- 自然流入数よりコンバージョン率の変化が重要で、流入減少でもCV率上昇なら「質の高いユーザー獲得」として統合成功と判断できる

【実践事例】伊藤が見てきた統廃合の成功・失敗パターン
理論だけでなく、実際の現場で何が起きるのかを知ることで、自社の判断精度は大きく向上します。ここでは伊藤がWEBマーケティング支援の現場で経験した、統廃合の成功例と失敗例を紹介します。これらの事例から学べる教訓は、あなたの意思決定を支える具体的な指針となるはずです。
成功例:旧サイトの評価を新サイトに集約して順位上昇
地域密着型のサービス業を営むK氏のケースです。創業時から10年以上運営していた旧サイトと、2年前に業者提案で構築した新サイトが並存していました。旧サイトは月間800セッションの自然流入がありましたが、デザインが古く、スマートフォン対応も不十分でした。新サイトは見た目は良いものの、月間200セッション程度に留まっていました。
サーチコンソールで詳しく分析すると、旧サイトには「地域名+サービス名」で10〜15位に入っているページが複数ありました。一方、新サイトは同じキーワードで20位以下が大半で、明らかにカニバリゼーションが発生していました。
伊藤の提案により、旧サイトの主要ページを新サイトに移行し、ページ単位で正確な301リダイレクトを設定しました。さらに、旧サイトで流入の多かった「お客様の声」ページのコンテンツを、新サイトの同様のページに統合しました。
統合後1ヶ月間は流入が15%程度減少しましたが、2ヶ月目から回復基調に入り、3ヶ月後には統合前の120%まで増加しました。特に主要キーワードでの検索順位が10位前後から5〜7位に上昇し、クリック率も大幅に改善しました。これは、サイトパワーが集約されたことに加え、スマートフォンでの閲覧体験が向上したことが要因と考えられます。
K氏からは「もっと早く統合すればよかった」という声をいただきました。重要なのは、デザインの良し悪しではなく「ドメインパワーをどこに集約するか」という戦略的判断だったのです。
失敗例:リダイレクト設定ミスで両サイトとも順位下落
逆に失敗したケースもあります。ある小売業の事例では、担当者が独自判断で統合を進めましたが、301リダイレクトの設定を誤りました。具体的には、旧サイトの全ページを新サイトのトップページに一括リダイレクトしてしまったのです。
この設定では、旧サイトの個別ページが持っていたSEO評価は引き継がれません。Googleは「関連性のないリダイレクト」と判断し、むしろペナルティに近い評価を下しました。結果として、統合後2ヶ月で自然流入が60%以上減少し、主要キーワードでの検索順位も20位以下に後退しました。
さらに問題だったのは、旧サイトをサーバーから完全に削除してしまったため、リダイレクト設定を修正できなくなったことです。急遽、旧サイトのバックアップを復元し、正しいリダイレクト設定をやり直しましたが、失われた評価を取り戻すには半年以上かかりました。
この事例から学べるのは、「統合は慎重に、段階的に進めるべき」という原則です。特に技術的な設定については、専門家の確認を受けるか、少なくとも一部のページでテストしてから全体に適用するべきでした。
失敗例:インデックス未登録を見落として新サイトに統合
本記事の冒頭で紹介したディスカッション事例に近いケースです。ある企業が新しいCMSツールを導入し、更新頻度を高めて集客強化を図りましたが、半年経っても検索順位が上がりませんでした。
詳しく調査すると、新サイトのブログ記事100本のうち、インデックスされているのはわずか10本程度でした。原因は、インスタグラム投稿をそのままブログ化した短文コンテンツが大量にあり、Googleが「低品質サイト」と判断していたことでした。
この状態で旧サイトを統合してしまうと、旧サイトの評価まで下がるリスクがあります。伊藤はまず新サイトの低品質コンテンツを大量削除し、Hタグ構造を見直した上で、3ヶ月間様子を見ることを提案しました。その結果、徐々にインデックス数が回復し、その後で統合を進めることができました。
この事例の教訓は「統合前のインデックス状況確認が最重要」ということです。表面的なアクセス数だけでなく、サーチコンソールで「そもそもサイトが正常に機能しているか」を確認する必要があります。
教訓:判断は「データ」と「運用実態」の両面から
成功例と失敗例に共通する教訓は、統廃合の判断には「データ分析」と「運用実態の把握」の両方が必要だということです。
データ分析では、Googleアナリティクスとサーチコンソールを駆使して、自然流入数、検索順位、インデックス状況を定量的に評価します。一方、運用実態では、担当者の工数、更新頻度、コンテンツ品質、内部リンク構造といった定性的な要素を確認します。
どちらか一方だけでは判断を誤ります。データ上は新サイトの流入が少なくても、成長トレンドがあり、運用体制が整っているなら継続の価値があります。逆に、旧サイトの流入が多くても、更新が止まっており、担当者も誰も触れていない状態なら、統合すべきタイミングです。
さらに重要なのは「契約期間」「予算」「人的リソース」といったビジネス上の制約条件です。理想論だけでなく、現実的に運用可能な選択をすることが、中小企業のWEB戦略では最も重要な視点となります。
この項のまとめ
- 成功事例ではページ単位の正確な301リダイレクトとサイトパワー集約により、統合3ヶ月後に流入120%増・主要キーワード順位5〜7位へ上昇を達成
- 失敗事例では全ページをトップページに一括リダイレクトしたため「関連性のないリダイレクト」と判断され、自然流入60%以上減少・順位20位以下に後退
- 旧サイトを完全削除してからリダイレクトミスに気づくと修正不可能になり、評価回復に半年以上かかるため段階的な実施が必須
- インデックス未登録を見落として統合すると旧サイトの評価まで下がるリスクがあり、低品質コンテンツ削除とインデックス回復を優先すべき
- 統廃合判断には「データ分析」と「運用実態把握」の両面が必要で、さらに契約期間・予算・人的リソースという現実的制約条件の考慮が中小企業では最重要

まとめ:複数サイト運営は「戦略的選択」であるべき
複数サイトの並存問題は、多くの中小企業が直面する現実的な課題です。サイトリニューアル、新ツール導入、事業拡大といった前向きな取り組みの結果として発生するため、「失敗」ではなく「成長痛」と捉えるべきです。しかし、その状態を放置すれば、SEO評価の分散、運用コストの増大、機会損失という形で、確実にビジネスの足を引っ張ります。
目的なき複数サイト運営はSEOの足を引っ張る
本記事で繰り返し強調してきたとおり、複数サイト運営には明確な戦略と十分な運用リソースが必要です。「なんとなく両方残している」「契約期間があるから使い続けている」「判断を先延ばしにしている」といった状態は、最も避けるべきパターンです。
ドメインパワーの分散、カニバリゼーションによる検索順位の低迷、担当者の工数分散による質の低下――これらは全て、意図せず発生する副作用です。特に地域ビジネスでは、限られた検索ボリュームの中で競合と戦わなければならないため、自社サイト同士で競合している余裕はありません。
「デザインが古いから新サイトを作る」「更新しやすいツールに変える」という発想自体は正しいのですが、それは「旧サイトからの移行」を前提とすべきです。並存期間は最小限に抑え、移行計画とリダイレクト設定をセットで考える必要があります。
AIツールや簡単更新システムの営業トークに惑わされず、「このツールで本当にSEO評価が得られるのか」「インデックスされる品質のコンテンツを作れるのか」を冷静に見極めることが重要です。特に2024年以降、低品質なAIコンテンツへのGoogleの評価は厳しくなっており、大量投稿が逆効果になるリスクを認識すべきです。
3つのチェックポイントで現状を可視化する
統廃合を判断する前に、必ず現状を数値で把握してください。感覚や印象ではなく、データに基づいた意思決定が、後悔しない選択につながります。
チェック①:Googleアナリティクスで自然流入数を比較する 各サイトの月間オーガニック流入を最低6ヶ月間追跡し、トレンドを把握します。単月の数値ではなく「成長しているか、停滞しているか」を見極めることが重要です。
チェック②:サーチコンソールでインデックス状況を確認する【最重要】 投稿記事数とインデックス登録数に大きな乖離がある場合、低品質コンテンツ問題かシステム的欠陥が潜んでいます。インデックスされていないサイトは「SEO上、存在しない」と同じです。この確認を怠ると、間違った判断をするリスクが高まります。
チェック③:運用実態とコンテンツ品質を評価する 更新頻度、担当者の工数、内部リンク構造、重複コンテンツの有無を確認します。データ上は問題なくても、実際の運用が回っていなければ、長期的な成長は望めません。
これら3つのチェックポイントを踏まえることで、「統合すべきか、残すべきか」の判断基準が明確になります。曖昧な判断や先延ばしではなく、根拠を持った意思決定ができるようになるのです。
統合・維持の判断は「4象限マトリクス」で整理する
ディスカッションでも紹介した「4象限マトリクス」の考え方は、複数サイト運営の判断にも応用できます。横軸に「実施にかかる時間・工数」、縦軸に「SEO効果・売上への影響」を置きます。
第1象限:時間がかかるが効果が高い サイト統合と301リダイレクト設定、内部リンク構造の最適化などがここに該当します。すぐには結果が出ませんが、中長期的にSEO評価を高める施策として、優先的に着手すべきです。
第2象限:すぐできて効果も高い 低品質コンテンツの削除、インデックス未登録ページの修正、サーチコンソールでのエラー対応などです。これらは比較的短時間で実施でき、かつ即効性があるため、最優先で取り組むべきタスクです。
第3象限:時間がかかるが効果は低い デザインの細かな調整、使われていないページの微修正などです。完璧を目指すとキリがないため、後回しにするか、そもそも実施しない選択も検討すべきです。
第4象限:すぐできるが効果は低い 簡単だからといって優先する必要はありません。時間があるときに対応する程度で十分です。
この整理により、「何から手をつけるべきか」が明確になります。特に中小企業のWEB担当者は、限られた時間の中で成果を出す必要があるため、この優先順位付けが極めて重要です。
最後に:迷ったら「集中」を選ぶ
複数サイト運営か統合かで迷ったとき、中小企業においては「集中」を選ぶことをおすすめします。分散したリソースを一点に集めることで、コンテンツの質、更新頻度、内部リンク設計、ユーザー体験の全てが向上します。
SEOは「積み重ね」が命です。毎日少しずつでも、同じサイトに対して改善を続けることで、ドメインパワーは確実に高まります。逆に、複数サイトを中途半端に運用していると、どちらも競合に追い抜かれ、気づいたときには大きく差をつけられています。
統廃合は「捨てる決断」でもあります。新しいツールへの投資、契約期間、これまでの努力――それらを手放すことには抵抗があるでしょう。しかし、その決断が次の成長につながります。データと現実を直視し、勇気を持って選択することが、WEB戦略における最も重要なスキルです。
本記事で紹介した3つのチェックポイント、統廃合の判断基準、実装手順、モニタリング方法を活用し、あなたのビジネスに最適な選択をしてください。
この項のまとめ
- 複数サイト並存は「成長痛」として発生するが、目的なき運用はドメインパワー分散・カニバリゼーション・工数分散という形でビジネスの足を引っ張る
- AIツールの営業トークに惑わされず「インデックスされる品質のコンテンツを作れるか」を見極め、並存期間は最小限に抑えて移行計画とリダイレクト設定をセットで考える
- 統廃合判断には感覚ではなくデータが必須で、特にサーチコンソールでのインデックス状況確認は「SEO上存在するか」を判断する最重要チェック項目
- 4象限マトリクスで「時間×効果」を整理し、サイト統合・301リダイレクトは「時間かかるが効果高い」第1象限として優先着手すべき施策
- 中小企業が迷ったら「集中」を選び、分散リソースを一点集中させることでコンテンツ質・更新頻度・ドメインパワーの全てが向上し競合優位性を確保できる
編集後記
WEB担当者として日々奮闘されている皆さんへ。複数サイトの運営判断は、私自身も何度も直面してきた課題です。「このまま続けるべきか、方向転換すべきか」という迷いは、成長過程では避けられません。重要なのは、完璧を目指すことではなく、データを見て小さく決断し、改善を繰り返すことです。失敗を恐れず、一歩ずつ前に進んでください。あなたの挑戦が、必ず事業の成長につながります。共に学び、成長していきましょう。

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講師紹介
株式会社ボンセレ 代表取締役
伊藤 祐介(いとう ゆうすけ)
❖ プロフィール
東京出身の“氷河期世代”。
身長182cm、見た目は大きめ、中身は細かめ。
公務員からスタートし、フレンチレストラン、築地魚河岸、ワインショップなど、業種も業界も超えて現場を経験。のちに広告代理店、EC支援、WEB制作へと軸足を移し、現在は複数企業のWEB戦略を支援。実務と現場視点に根ざした教育者です。
❖ 専門領域
WEBマーケティング/EC戦略立案
コンテンツ企画・制作
広告運用(SNS/検索)
顧客接点の設計とCRM支援
❖ 教育観・講義スタンス
「右腕は、育てることができる」。
人は“経験”だけでは変わりません。
変化するのは、思考のプロセスを鍛えたとき。
私は現場から、企画・広告・制作・接客・分析まで、すべての工程を実践してきました。だからこそ、「考えて動ける右腕」を育てるには、手を動かし、振り返り、問い直す場が必要だと考えています。
❖ 右腕育成にかける思い
「社長の想いを言語化し、現場に翻訳する存在」が右腕です。
単なるWEB人材ではなく、“経営を理解し、支える人材”を育てたい。
ひとつの強みを見つけ、自分にしかできない貢献の形を築く――
それが、このプログラムのゴールです。
❖ 私のルーツ
仮説実験授業(板倉聖宣 提唱)
科学的な思考法とディスカッションベースの学びに影響を受ける。プログラミングとの出会い
高校時代にBasicからスタート。VBAでの業務改善からWEB制作へ。
❖ 好きなこと
食べること・飲むこと・考えること。
最近のブームは激辛料理(ブートジョロキア)。
