
AIの登場でSNSのような巨大プラットフォームはどう変化するか?
「インスタで稼げる時代は終わった」——そんな声が聞こえる2025年。かつてSNSは夢の集客ツールと呼ばれていましたが、今や多くの企業や個人が「思うような成果が出ない」と悩んでいます。Meta CEOザッカーバーグの衝撃発言、AIの台頭、そして変化するユーザー行動。業界の裏側で起きている真実と、これからの時代に必要な新しい戦略について解説します。
目次
Instagram神話の崩壊 - 2025年のSNS収益化の現実
まず、今日のテーマは「SNSは死んだ」というちょっと挑発的なタイトルですが、そこに込めた思いについて教えていただけますか?
はい。最初にお伝えしたいのが、「みなさんインスタに過度な期待を抱いてますよね」っていうところなんです。先日、X(旧Twitter)をメインにSNSを運用している方が「X以外での収益化って、ほぼ無理じゃない?」って話していて、私もそれにすごく共感しましたし、実際、多くの人が同じように賛同していました。SNS運用者として私自身も、その感覚にはかなり近いですね。
なるほど。X以外での収益化が難しいという実感、確かに最近よく耳にします。特にインスタについて、その過大評価に違和感を持っていらっしゃるんですね。
はい。いろんなSNSがありますけど、それぞれにユーザーの属性って違うじゃないですか。でも、どうも多くの人が「インスタこそがすごい」って信じて疑わないように見えるんです。特に気になるのは、何年か前のインスタの成功体験が、今でも通用すると思っている人が多いんじゃないかってこと。
過去の成功モデルにとらわれてしまっている、ということですか?
そうですね。大きく分けて二つの誤解があると思っています。一つは、アルゴリズムの変化に気づいていない人たち。インスタって数年前とは違って、インプレッションやエンゲージメントの付き方がガラッと変わってるんですけど、昔のように投稿すれば反応がもらえると信じてる人がまだまだ多いんです。
確かに、以前はタグつければ伸びる、いい写真載せればいいねがつく、みたいな時代がありましたね。
そうそう。で、もう一つは、インスタが伸びた背景に「コロナ禍」があったということ。外出やリアルな人付き合いが難しい時期に、「見る」だけで楽しめるSNSとしてインスタがすごく合っていた。でも今はもうコロナじゃない。リアルに戻ってるし、状況は大きく変わってるのに、気づかずにインスタ至上主義みたいな考えを続けてる人がいるんです。
なるほど、インスタが伸びていたのは一時的な社会背景にも支えられていたけれど、今はもうその時代ではない、と。では2025年の今、インスタをどう見ていらっしゃいますか?
そうですね。これはあくまで2025年の夏の時点での私の見解なんですが、たとえインプレッションが伸びたり、いいねが付いたとしても、それが「本質的なエンゲージメント」や「コミュニケーションの深化」に繋がっているとは感じにくいです。言ってしまえば、表面的なつながりは増えても、本当に求めているような愛着とか関係性は、生まれにくい。
それは、発信者としてすごく切実な実感ですよね。
はい。あえて強い言い方をしますけど、「連れション」程度の関係性しか築けていないんじゃないかと思うことがあります。つまり、みんなでワーッと集まって写真を撮って、「いいね」って言い合うだけの関係。その場の安心感はあるけれど、深く知ろうとか本音を交わそうという気配はない。
それは扱うジャンルにもよるとは思いますが、少なくとも今のインスタの空気感として、そういう傾向が強くなっているということですね。
はい、もちろんジャンルによって事情は違います。ただ、外から見た全体のムードとしては、かなり「表層的」になっている印象です。
インスタの現状についてのご意見、とても共感する人が多そうです。では逆に、Xについての印象はどうでしたか?運用を始める前はどう思っていたんでしょう?
実は私自身も、最初は「やっぱりインスタの方がいいのかな」と思っていました。Xってちょっとオタクっぽいとか、偏った意見を言う人が多いとか、あとは炎上が起こりやすいというイメージがあって、正直、怖い媒体だなと。
Xって過激なイメージを持たれがちですもんね。
でも、いざXを運用してみると、意外と落ち着いてるというか、建設的なコミュニケーションもある。むしろ最近だと、Metaが出しているスレッズ(Threads)の方が、よほど攻撃的というか、「なんでそんなに噛みつくの?」みたいな人たちが目立つ印象があるんです。
それはちょっと意外です!スレッズって、インスタと同じ会社がやってるから、もう少し穏やかな印象を持ってました。
そうなんですよ。私も最初はそう思ってたんですけど、今のスレッズはちょっと治安が悪いというか…。このあたりの「SNSごとのユーザー属性の変化」って、かなり大事だと思います。SNSの担当者って、単に「この媒体が流行ってるからやろう」じゃなくて、今の属性がどうなっているかをちゃんと見ながら運用していかないと、効果も信頼も得られないんじゃないかなと思っています。
この項のまとめ
- インスタグラムに対する過剰な期待への疑問。
- アルゴリズムとユーザー行動の変化に気づいていない運用者が多い。
- 現代のインスタは「表層的なつながり」が主流。
- X(旧Twitter)は当初の印象と異なり、意外と建設的な場。
- SNS運用には「媒体ごとの属性」を的確に見極める視点が重要。
インスタは過去の成功体験やコロナ禍の一時的な需要に支えられていたが、現在は状況が大きく変化しており、従来のような成果は得にくくなっている。
タグ付けや写真投稿で簡単に反応を得られる時代は終わっており、それに対応できていないことが現状の問題。
一時的な共感や「いいね」の応酬はあっても、本質的な関係性やエンゲージメントは築きにくくなっている。
炎上や偏見の多いメディアだと思われがちだが、実際には冷静なやりとりも多く、スレッズより治安が良いと感じる場面もある。
流行だけに頼らず、各SNSのユーザーの性質や変化を把握しないと、発信効果や信頼構築にはつながらない。
SNSプラットフォーム崩壊の真実 - ザッカーバーグ発言とAI時代の到来
SNSごとのユーザー属性や空気の変化、本当に興味深いです。そんな中で、SNSそのものに対しても大きな転換点が来ているように感じていらっしゃるんですね?
はい。実は2025年の4月に、フェイスブックやインスタグラムを率いるマーク・ザッカーバーグが「SNSはもう終わった」というような趣旨のコメントをしているんです。これを見て、「ああ、やっぱり終わりの始まりが来たな」と、私自身も深く納得したんですよね。
ザッカーバーグがそれを言うというのは、かなり衝撃的ですね…。
ですよね。彼が言っていたのは、本来SNSというのは「近しい人とのつながり」や「趣味・思考が近い人との交流」が主な目的だったはずなのに、今はもう広告、有名人のどうでもいいつぶやき、そしてスパムのような投稿で埋め尽くされていると。実際にユーザーが本当に関わりたいと思える投稿は、全体の2割以下になっているというレポートまで出しているんです。
それって、もはや「ソーシャル」じゃなくなってるってことですよね。
まさにそうなんです。これはメタ社に限った話じゃなくて、X、TikTokなんかにも共通して言える現象だと思っています。「人とつながる場所」が、いつの間にか「企業と有名人が広告を打つ場所」になってしまっている。SNS全体が、原点から大きくずれてしまったなという印象です。
なるほど、個人ユーザーだけでなく、企業にとってもSNSの価値が下がってきているというのは、かなり大きな視点ですね。
そうなんです。特にSNSを活用して情報発信や集客を行っている企業や担当者からすると、「SNSが年々使いにくくなってきている」という実感はあると思います。たとえばInstagramなら、通常の投稿に外部リンクを貼って自社サイトに誘導することができない。ストーリーズにはリンク機能がありますが、それも限定的で、送客には不向きな構造になっています。
確かに、リンク貼れない問題ってインスタ運用の悩みの代表格ですよね。
さらにX(旧Twitter)でも、アウトバウンドリンクは貼れるんですけど、それに対してはアルゴリズム的に「インプレッションを減らす」という仕様になっている。つまり、「リンクを貼って外に人を送る行為」自体を、プラットフォームは歓迎していないということなんです。
そうなると、SNSって「自社の資産を増やす場所」としてはかなり不向きになりますよね。
まさにそこなんです。フォロワー数や投稿数に対して、得られる実質的な成果が年々下がってきている。今やSNSは「気軽にバズって集客」というような魔法のツールではなくなりつつあるんですよね。私は企業の担当者であればあるほど、そろそろ「本当にSNSを続ける意味があるのか?」と問い直すべき時期に来ていると思っています。
SNSが企業にとっても個人にとっても価値を失いつつある中で、さらにAIの影響も大きくなってきていますよね。
はい。今後は「SNS対AI」の構図が、いよいよ表面化してくると思っています。AIのコンテンツ生成能力が飛躍的に向上したことで、情報の量がものすごいスピードで増えているんですよね。
確かに、タイムラインの流れがどんどん速くなってる印象があります。
その中で、たとえば自分の投稿にコメントがついたとしても、「それって人間が書いてるの?」って疑いたくなることがあるわけです。逆に、自分が見ている投稿自体も、もしかしたらAIが生成したものかもしれない。つまり、本来は人間同士でのコミュニケーションの場だったはずが、気づけばAI同士が代理戦争のように会話している、そんな不気味な状態になりつつあります。
SNSが「人の声」じゃなくなってきていると…。
そうなんです。プラットフォーム側としては、これに対して何らかの対策を取ってくるはずです。たとえば、テキストのコピー&ペーストを禁止するとか、AIっぽい挙動のアカウントをBANするとか、スクリーンショットの取り扱いを制限するとか。でも、これって結局イタチごっこなんですよ。AIも進化するし、SNS側も防御を強める。でもその結果、どちらも価値を落としていくような、そんな未来が見えてきます。
この項のまとめ
- 「SNSは終わった」という認識が広がりつつある。
- もはやSNSは「人との交流の場」ではなくなっている。
- 企業にとってもSNSは「集客ツール」としての限界がある。
- AIの台頭により、SNSは「人間不在」の場になりつつある。
- SNSとAIのいたちごっこが続く中で、双方の価値が低下する未来も。
マーク・ザッカーバーグが2025年に「SNSの本質は失われた」と発言。広告やスパムに埋もれ、ユーザーが本当に望む投稿は2割以下というデータも示されている。
XやInstagram、TikTokなども同様に、個人よりも企業・有名人の広告ツールとなり、ソーシャル要素が薄れているという指摘。
外部リンクの制限やアルゴリズムによる露出制御などが影響し、SNSからの送客や資産化がますます難しくなっている。
コメントや投稿が本当に人間によるものか疑わしい状況が増え、AI同士が会話する「代理戦争」のような異様さが生まれている。
プラットフォームはAI対策を講じるが、AIは進化し続けるため、防御と突破の繰り返しにより、本質的な価値がすり減る可能性がある。
ポストSNS時代のコミュニケーション戦略 - リアル回帰と新しいつながり方
AIとSNSのせめぎ合いの中で、「じゃあ私たちは今後どうやって人とつながっていけばいいの?」という問いが浮かんできますね。
そうですね。私自身、ここについてはまだ完全な答えがあるわけじゃないんですが、ざっくりとした予想はしています。ひとつ言えるのは、「巨大プラットフォームの時代」がピークを迎えて、そこから「内輪のつながり」へと回帰していく流れが強まるんじゃないかということ。
それって、ちょっと社会構造の話にも似ていますね。
まさにそうなんです。たとえば、グローバリズムが発展しすぎた結果、「やっぱり国内が大事」として保護主義に傾いたトランプ政権のように。ウェブの世界でも、かつては「みんなで盛り上がろうぜ」というオープンな流れがありましたが、今はむしろAIの登場によって分断が進んでいく気がするんです。
たしかに、今までは誰かの投稿に共感したり、励まされたりしていたのに、最近は「これは誰が書いたんだろう?本当に人間?」って考えちゃいます。
そうなんです。そしてもうひとつ大事なのが、「コンテンツ自体の価値の相対的な低下」です。文章を書く、絵を描く、写真を撮る――これまでは人間がやってきたことが、どんどんAIに置き換わっていく。そうすると、全体としては、コンテンツそのものの希少性やオリジナリティって、どんどん下がっていくと思うんです。SNSだけじゃなくて、ウェブ全体でも同じ傾向が起きてくるはずです。
AIやSNSの変化を受けて、じゃあこれから私たちはどうやって「人とつながる」のか。それについて、今どんな可能性を感じていますか?
はい。私は今後、大きく2つの方向性が出てくると思っています。まずひとつは、「ミニマムでマニアックなプラットフォーム」の台頭です。つまり、大きなSNSはアカウントを持っていたとしても、それはあくまで補助的なもので、実際にやりとりを行うのは、よりニッチで趣味性の高い、あるいはライフワークに近いようなテーマに特化したスモールコミュニティになると思うんです。
それって、かつてのインターネット黎明期の掲示板やML(メーリングリスト)に近い感覚かもしれませんね。
まさにそうです。そしてもうひとつの大きな変化は、「リアルの価値」の再評価です。私は先ほど、AIによってコンテンツの相対的価値が下がると話しましたが、その一方で、人が集まってリアルで活動することの価値は、逆にどんどん高まっていくと思っています。
オンライン一辺倒だった流れが、またリアルに回帰していくと。
そうなんです。リアルのイベント、あるいは小規模なオンラインイベントでも、人が「自発的に集まって動いている」という事実には、AIでは絶対に再現できない力があります。もしAIが便利だから、コンテンツが量産できるようになって「よかったね」と思っているだけだと、どこかで足元をすくわれる気がします。
ここまでお話をうかがって、まさに「時代の大きな変わり目」に私たちは立っているんだなと感じました。でもその中で、何か「希望」も見ていらっしゃるように思いました。
はい、まさにそうなんです。AIの潮流やSNSの変化によって、「SNSは終わった」とか「コンテンツマーケティングはもう使えない」と極端に言われることもあります。でも、私はそうは思っていません。
「終わった」と決めつけるのではなく、どう活かすかの視点が必要だと。
その通りです。確かに今後、コンテンツやプラットフォームの価値は相対的に下がっていくでしょう。けれど、それは「何もできない」ことを意味するわけではありません。むしろ、こういう時代だからこそ、どんな構え方をするか、どんなスタンスで発信するかが重要になると思います。
オンラインサロンでも、まさにそういったテーマに取り組んでいるんですね?
はい。AIの便利な使い方やテクニカルな情報も扱っていますが、もっと本質的な部分――たとえば「変化に強いコンテンツとは何か」「これからの時代の事業ドメインの作り方とは」などを中心に、深いディスカッションを重ねています。ただ流行に乗るのではなく、ちゃんと地に足のついた発信をしていく。そういう仲間とともに、これからも続けていきたいと考えています。
この項のまとめ
- 巨大SNSの終焉と「内輪のつながり」への回帰。
- コンテンツの希少性が低下し、「リアル」の価値が高まっている。
- 「ミニマムかつマニアック」な場がこれからの主戦場に。
- AI時代でも「人が動いている場」には独自の力がある。
- 変化の時代こそ、「構え方」と「発信のスタンス」が鍵になる。
情報過多とAI化によって疲弊したユーザーは、大規模SNSから離れ、信頼や趣味でつながるスモールコミュニティに価値を見出し始めている。
AIによる大量生成で、文章や画像などのコンテンツの希少性は下がる一方、リアルな交流や実際の体験がより貴重な価値として見直されつつある。
趣味性やテーマ性の高いニッチなプラットフォームが、情報や交流の主軸になり、大規模SNSは補助的役割に移行していくと予測。
リアルイベントや小規模オンライン会合など、人間の意志と参加による活動は、AIには再現できない価値を持ち続ける。
オンラインサロンでは、流行に流されず、変化に強いコンテンツや事業の作り方など、本質的な議論が今後の指針として重要視されている。
編集後記
如何でしょうか? 一時代を築いた巨大プラットフォームのSNSという舞台が、今、ゆっくりと幕を下ろしつつある気配を感じています。かつては「人とつながる」ことの象徴だったInstagramも、今や過去の成功体験にしがみつく場所になりつつあります。 それでも私たちは、「つながり」を諦める必要はありません。むしろ、本当の意味での共感や信頼、深い関係性が求められる時代に突入したのだと思います。 テクノロジーが進化しても、人の心は簡単に置き換えられません。これからは、小さくても本質的なやりとりを育てていくことが、私たちの新しいSNSとの向き合い方になるのではないでしょうか。あなたは、今どんなつながりを大切にしていますか?

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伊藤 祐介(いとう ゆうすけ)
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東京出身の“氷河期世代”。
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