
LP外注で100万円を溶かして気づいたこと——Web制作業者の正しい目利き術と内製化への道
——Web制作業者・担当者の正しい目利き術と内製化へのシフト
「プロに頼んだのに成果がゼロだった」——そんな経験をしたことはないだろうか。100万円近い費用をかけて外注したランディングページが、問い合わせを1件も生まなかった。これは特別な失敗談ではない。Web制作の現場では、今や当たり前のように起きていることだ。
本記事では、外注で成果が出ない本質的な理由と、業者・担当者の力量を見極めるための具体的な判断軸を提示する。さらに、内製化への移行を検討している企業が最初に理解すべき視点を共有する。
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目次

外注で成果が出ない——その本質的な原因
「プロ」に頼めば安心、という幻想
Web制作を外注する企業の多くは、「専門家に任せれば間違いない」という前提で動く。しかし実態は異なる。Web業界は高度化・細分化・分業化が進んだ結果、個別領域のスペシャリストは増えたが、マーケティング・戦略・設計・制作を統合的に扱えるエキスパートはむしろ激減している。
さらに深刻なのは「オペレーター化」の問題だ。PhotoshopやIllustratorなどのツールが進化し、誰でも見た目の整ったものを作れるようになった。その結果、ツールを操作するだけで「デザイナーを名乗れる」時代になってしまった。大学でデザインを教える専門家ですら、「デザイナーを目指しているのに、実態はオペレーターになっている学生が多い」と指摘するほどだ。
WEBマーケティングにおけるデザインの本当の役割
WEBマーケティングにおいて、デザインが成果に寄与する割合は5%以下だ。
これは過激な主張ではなく、実務的な事実認識だ。売れているサイトはデザインが良い。だから「デザインが成功要因だ」と思い込む。しかしこれは因果関係の逆転であり、典型的な誤謬だ。
デザインはWebマーケティングにおけるラストピースであり、十分条件ではない。ターゲット設計・メッセージ設計・構成・CTA——これらが正しく機能して初めて、デザインは意味を持つ。この順序を理解していない業者に発注しても、見た目だけが整った「お絵描き」が届くだけだ。

ダメなデザイナー・業者を見極める判断軸
初回ヒアリングで「色の話」から始める担当者は要注意
これは経験則として断言できる。最初の打ち合わせで色やトンマナの話を切り出してくる担当者は、ほぼ確実に本質的なスキルを持っていない。
なぜか。色というのは無段階でグラデーションが存在し、組み合わせは無限通りある。つまり「色の話」は、合意形成の起点として機能しない。本来のデザインプロセスは、ペルソナ・世界観・課題という抽象的・概念的な合意から始まり、そこからビジュアルへと収束していくものだ。
その順序を無視して、いきなり具体(色)から入ってくるということは、抽象概念を扱う知性が欠如しているか、コミュニケーション設計がそもそもできていない証拠だ。
「売れない芸人」と思え
WEBデザイナーは売れない芸人と同じ構造だ。時間が守れない、ルールを理解できない——だから普通の仕事に就けなかった人間がなりやすい職種でもある。
もちろんこれはすべてのデザイナーに当てはまるわけではない。優秀なデザイナーも存在する。しかし彼らは例外なく、デザイン力と同時に恐ろしくロジカルだ。納期を守り、無駄なコミュニケーションコストを発生させず、話が噛み合う。
つまり「デザイナーを有難がる必要はない」。発注者側がこの前提を持てているかどうかで、外注の成功率は大きく変わる。
数値に無関心な担当者は即アウト
自分が関わった制作物の成果を気にしない担当者は、子供がお絵描き遊びをしているのと本質的に変わらない。デザインを自己表現だと勘違いしているのだ。
本質的なデザインとは、顧客の課題に寄り添い、その向こう側にいるエンドユーザーの視点に立てることだ。CVRや滞在時間、問い合わせ数といった数値で自分の仕事を語れない担当者には、成果を期待できない。
「過去の肩書」で仕事を取っている業者に注意
「大手代理店出身」「有名企業のデザイン経験あり」——こうした肩書きに安心してしまう発注者は多い。しかし過去の実績と現在の実力は別物だ。また大きな組織の中での役割が、発注者の課題に直結するとは限らない。
ポートフォリオを見る際も、「絵力」ではなく「その制作物に対してどれだけ深い解説ができるか」を確認することが重要だ。制作物の意図・仮説・成果数値を語れない担当者は、オペレーターに過ぎない。

外注業者・担当者を見極める実務チェックリスト
以下の判断軸を活用して、発注前・ヒアリング時に確認してほしい。
確認項目 | NGサイン | OKサイン |
初回ヒアリングの内容 | 色・見た目・トンマナの話から入る | ターゲット・課題・目標数値から入る |
設計の思考順序 | ビジュアルありきで提案してくる | ペルソナ・世界観の合意から始める |
数値への意識 | デザインの見た目を誇る・数値を語れない | CVR・滞在時間・問い合わせ数で語れる |
納期・時間管理 | 遅延が発生・事前相談なし | 厳守・問題があれば事前に連絡がある |
レスポンスの質 | 遅い・返答が曖昧・話が噛み合わない | 迅速・明確・論理的 |
ポートフォリオ解説 | 「これが実績です」と見せるだけ | 制作意図・仮説・成果を詳しく説明できる |
肩書への依存度 | 過去の会社名・実績で売り込んでくる | 現在進行形の成果・思考プロセスで語る |

外注から内製化へ——何が変わるのか
外注が抱える構造的な限界
外注業者がどれだけ優秀でも、その会社が何を考え、どの方向に進もうとしているかを正確に理解することは難しい。商品・サービスへの解像度、顧客理解の深度——これらは内部にいる人間にしか持てない情報だ。
実際、ある企業のケースでは、外注で制作したLPのエンゲージメント時間はわずか30秒だった。しかし社内で課題を特定し、構成・CTAを改修し続けた結果、エンゲージメント時間は1分を超えるまでに改善した。同じ商品・同じ予算・変わったのは「誰が作ったか」ではなく「誰の視点で作ったか」だ。
インハウス・内製化が主流になる理由
AIの普及により、ナレッジの取得コストは劇的に下がった。以前は外注しなければ得られなかった専門知識が、今は社内でも習得できる時代だ。
今後のWebマーケティングは、アウトソーシング中心から「インハウス(外部人材の社内登用)」と「内製化(自社での完全内製)」へと重心が移っていく。外注がなくなるわけではないが、その役割は限定的になり、戦略と実行の中枢は自社に取り戻すことが競争優位につながる。
内製化で最初に必要な視点
内製化を始めるにあたって最も重要なのは、「誰向けなのか」というターゲット設計の思考だ。何を作るか・どう作るか、よりも先に、誰に届けるかが明確でなければ、どれだけコストをかけても成果は出ない。
発注者・社内担当者が持つべき最低限のリテラシーは、ツールの使い方ではなく「相手の言語力と思考力を見極める力」「仮説を言語化する力」「数値で成果を語る力」の3点に集約される。

まとめ:「目利き」こそが最大のコスト削減
「プロに任せれば安心」という時代は終わった。Web制作の品質は均一ではなく、担当者の力量によって成果は天地ほど変わる。補助金による市場の歪みもあり、実力以上の報酬を得ている業者が溢れているのが現実だ。
発注者・担当者に今求められているのは、外注か内製かという二項対立ではなく、「正しく見極め、正しく使い、自社の力を育てる」という複合的な視点だ。
デザインはラストピースだ。その前段にある戦略・設計・ターゲット設計を自社でコントロールできるようになったとき、初めてWebは成果を生む武器になる。

講師紹介
株式会社ボンセレ 代表取締役
伊藤 祐介(いとう ゆうすけ)
❖ プロフィール
東京出身の“氷河期世代”。
身長182cm、見た目は大きめ、中身は細かめ。
公務員からスタートし、フレンチレストラン、築地魚河岸、ワインショップなど、業種も業界も超えて現場を経験。のちに広告代理店、EC支援、WEB制作へと軸足を移し、現在は複数企業のWEB戦略を支援。実務と現場視点に根ざした教育者です。
❖ 専門領域
WEBマーケティング/EC戦略立案
コンテンツ企画・制作
広告運用(SNS/検索)
顧客接点の設計とCRM支援
❖ 教育観・講義スタンス
「右腕は、育てることができる」。
人は“経験”だけでは変わりません。
変化するのは、思考のプロセスを鍛えたとき。
私は現場から、企画・広告・制作・接客・分析まで、すべての工程を実践してきました。だからこそ、「考えて動ける右腕」を育てるには、手を動かし、振り返り、問い直す場が必要だと考えています。
❖ 右腕育成にかける思い
「社長の想いを言語化し、現場に翻訳する存在」が右腕です。
単なるWEB人材ではなく、“経営を理解し、支える人材”を育てたい。
ひとつの強みを見つけ、自分にしかできない貢献の形を築く――
それが、このプログラムのゴールです。
❖ 私のルーツ
仮説実験授業(板倉聖宣 提唱)
科学的な思考法とディスカッションベースの学びに影響を受ける。プログラミングとの出会い
高校時代にBasicからスタート。VBAでの業務改善からWEB制作へ。
❖ 好きなこと
食べること・飲むこと・考えること。
最近のブームは激辛料理(ブートジョロキア)。
