#2 WEBマーケティングはなぜ難解と思われてしまうのか?本質理解と実践のための講義録

講義のテーマは「Webマーケティングはなぜ難解と思われてしまうのか」です。難しく思われがちですが、重要なポイントとコツさえ押さえていれば決して難しくありません。多くの方が勘違いしている点や、実践において押さえるべき原則を順を追ってお話ししていきます。
 

Webマーケティング最大のメリット

Webに取り組む最大のメリットは、大きく分けて「情報の蓄積」と「商圏の突破」の2点にあります。

① 情報の蓄積

顧客リスト(名簿)の蓄積どのような商売であっても顧客リストは極めて重要ですが、Webマーケティングにおいても第一にしっかりと貯めていく必要があります。
  • コンテンツの蓄積 ブログ記事などを蓄積していくことで、潜在ニーズを持つユーザーへ継続的にアプローチすることが可能になります。
  • 購入者レビューの蓄積 家電や専門品、趣味・マニアックな商材では「自分と同じ属性のユーザーがどう感じたか」が購入の重要な判断材料になります。自社サイトで貯めるのが難しい場合は、ショッピングモールやGoogleマップ(Googleビジネスプロフィール)への書き込みを活用するのも有効な施策です。

② 商圏の突破

実店舗(例えば飲食店なら半径500m程度)の物理的な制約を超えて、遠方のユーザーへリーチできるようになります。物販だけでなく、セミナーやコンサルティング、フロントエンド商品としての情報提供など、ローカルな環境を抜け出して広く価値を届けることが可能です。
 
 

Webマーケティングのデメリットと課題

メリットの裏には、当然デメリットや難しさも存在する。

検索ニーズ把握の難しさと「クリック前後」の分離

新しいサービスや商品を扱う際、事前に検索ニーズを正確に把握することは容易ではない。ここで重要なのが、「クリックされる前」と「クリックされた後」を明確に分離して考えることだ。初心者は「デザインを良くすれば売れる」と考えがちだが、どれほど綺麗なページを作っても、クリックして見てもらえなければ意味がない。ユーザーがGA4(アクセス解析)ばかり見てサーチコンソールを敬遠しがちな点について、伊藤は「サーチコンソールはBS(貸借対照表)に近い」と経営指標に例える。クリック前のキーワード対策こそが経営戦略だという考え方だ。

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顕在ニーズと潜在ニーズの違い

顕在ニーズ(今すぐ客)はすでに欲しい商品が決まっており、比較検討している状態にある。真っ先に取り組むべき施策だが、ここだけで勝負をすると値下げ合戦に巻き込まれる。まだ商品を知らない、あるいは過去に買ったことがない顧客に対しては、公式LINEやメルマガ、SNSなどで定期的に情報を提供し、理解を深めてもらう長期的な潜在ニーズの掘り起こしが必要になる。

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ランニングコストの高騰と対策

制作費や広告費(CPA)は年々高騰している。伊藤が業界に入った15年前はワンクリック50円程度が当たり前だったが、現在はクリック単価が約10倍近くに跳ね上がり、外注費用も上昇しているという。対策としては、オーガニック検索やSNSからの流入を増やしてCPAを間接的に下げること、一人の顧客に長くリピートしてもらいLTV(生涯価値)を高めること、そして実店舗やリアルイベントに呼び込んで接客し「ファン化」を推進することが挙げられる。

なお、サイトリニューアル等の制作面では、安易なシステム変更によって「URLが変わってしまう」リスクに十分注意する必要がある。伊藤はこれを「Webにおいては死と同じ」と強い言葉で警告する。半年ほど前、他社によるリニューアルで「URLが変わってしまう」と言われていた企業から相談を受けた際、伊藤自ら調査してURLを変えずにコンテンツを維持する方法を見つけ出し、その企業がこれまで積み上げてきたWeb上の価値の喪失を防いだという実話がある。

「1%マーケティング」とコンテンツの分類

1%マーケティングの真髄

1%マーケティングはアメリカ発祥の考え方で、「100人にアプローチして1人でも確実に購入してくれればOK」という戦略だ。全員に好かれようとする必要はない。最初は手書きチラシのような泥臭い「レスポンス型広告(即効性はあるが押し売り的)」で売り上げを立て、徐々に「イメージ型広告(ブランディング)」へウェイトを移していくのが一般的な手順となる。伊藤は、初期において本当に恐れるべきは「嫌われること」ではなく「存在自体を忘れられること」だと語り、「嫌われる勇気を持って押し売り・レスポンス型から入る」姿勢を促す。

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【講義実録#2】イメージ広告 vs レスポンス広告:究極の選択はこちら

「きっかけコンテンツ」と「説得コンテンツ」

現代は1日の情報量が「江戸時代の1年分、平安時代の一生分」に相当するほどの情報過多時代だと伊藤は表現する。良い商品を作る以上に「知ってもらうこと」が難しいため、コンテンツを役割ごとに使い分ける必要がある。「きっかけコンテンツ」は広告やSNSなどを活用して存在を知ってもらうための入口であり、拡散性が高い反面ストックできない弱点を持つ。「説得コンテンツ」はブログやDMなど、ユーザーにとって具体的に役立つ情報を提供するコンテンツで、構築すれば資産として残り続ける。この分類は伊藤自身が「僕のオリジナルの分類」と語るものだ。

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ロングテール理論(ゴジラ戦略)

競合が多く激戦区である「ショートヘッド(売れ筋商品・人気ワード)」と、競合が少なくニッチな「ロングテール(マニアックな商品・ワード)」を組み合わせることが重要になる。ショートヘッドで認知とアクセスを広げ、ロングテールで確実に利益を確保する構造だ。伊藤はこれを、売れ筋を「頭部・胴体」、ニッチな売れ筋を「長い尻尾」に見立て、「店舗全体のアクセスや売上を大きいゴジラとしてどう作るか」という独自の比喩で表現している。

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数値を追う前に確認すべきこと

アクセス数や成約率といった数値を分析する前に、前提として確認しておくべき構造上のポイントがある。

商流の確認

Webマーケティングがハマるかどうかは、ビジネスの商流に依存する。アパレルやコスメのように中間マージンをカットして商流を変えられるビジネスはネットと非常に相性が良い反面、薬事法などの規制がある医薬品や、工事・デリバリーが不可欠な大型設備などは、Webだけで完結させることが困難だ。

発信比率とE-E-A-T・YMYL

発信の黄金比として、自分たちが言いたいこと(主張)は全体の「1割」程度に抑え、残り「9割」は読者が知りたい情報や役に立つ情報で構成する。専門性、信頼性、権威性に加え、現在は「経験(Experience)」が強く評価される。「自分が何者で、何の専門家なのか」という実体験に基づいた発信が不可欠だと伊藤は語る。

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YMYL(Your Money, Your Life)は、ユーザーのお金や生活に直結する分野では、より正しい情報・信頼できる情報を提供しなければ評価されないという基準だ。受講生がこの言葉を「ユーザーは自分のお金と生活にしか興味がないこと」と解釈した際、伊藤は「まあ誰にとってもそうですけど(笑)、Googleの評価として生活に役立つ情報を出しなさいという意味」とユーモアを交えて訂正した、というやり取りもあった。

デザインが成果に与える影響は5%程度に過ぎず、残りの95%はテキスト言葉によって語られる「ストーリー」と、ユーザーが求める情報を提供できているかで決まる。

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実践的な運用戦術とAI時代の捉え方

A and B(両方やる)の実践姿勢

店舗などのリアル施策では絞り込みが有効だが、Webの場合はディスプレイの棚面積に制限がない。伊藤はこれを「バックヤードに箱詰めで置いておき、売れたら用意する感覚」だと表現する。AかBかの二者択一で悩むのではなく、「AもBも両方やる」、さらに「無料でできる施策はすべてやり切る」という姿勢が重要だ。まずはミニマムな作業量で市場に問い、得られたデータから改善していくことが最短のルートになる。

AI時代におけるWebマーケティング(AIO対策)

AI(検索AI・回答エンジン)の普及においても、本質的なマーケティング手法は変わらない。伊藤は「AIの本質は情報のショートカット」であり、そのショートカットとして最も優れた形式が「ダイジェスト・要約動画」だと語る。ページ内に要約動画を配置しておくことで、従来のSEO(検索エンジン最適化)からも、AIO(AI回答エンジン最適化)からも流入を獲得できるようになる。

顧客とのコミュニケーション頻度

顧客へのアプローチ(公式LINEやメルマガなど)は、月に3〜4回(週1回程度)の配信であれば問題ない。20年前、レストラン勤務の時は「接客頻度を減らしなさい」と教えられていたが、伊藤は「面白いネタ・役立つ情報があれば何回接客(配信)してもいい」という現代的な考え方へのアップデートを説く。大切なのは回数を減らすことではなく、読者にとって役に立つ・面白い情報を出せるかどうかだ。

なお伊藤自身、過去に配信者と実店舗スタッフの間で情報共有がされておらず、お客様に言われた際にスタッフが全く対応できなかったという失敗を経験したことがあるという。この経験から、社内連携の重要性を強く説いている。

メタ思考でマーケティングを

ここまで解説してきた内容は、いずれも理論としては理解できても、自社の商流や商材に当てはめた瞬間に「では自分の場合はどうすればいいのか」という壁にぶつかりやすいテーマです。顕在ニーズと潜在ニーズの配分、1%マーケティングの初期設計、ロングテール戦略の商品選定は、業種や規模によって正解が大きく変わります。

伊藤は週1回30分の相談会で、こうした「自社に当てはめたときの具体策」を一つひとつ扱っています。今回の記事で紹介した「ゴジラ戦略」や「バックヤード箱詰め」の考え方も、実際の相談の中から生まれた表現です。

週1回30分の相談会はこちら

講義を90秒動画でチラ見

CPAとLTVの重要性について

CPAとLTVを最大化する顧客獲得戦略

現代のデジタルマーケティングにおいて、企業が直面しているのは単なる競争ではなく、際限のない「顧客の奪い合い」という過酷な現実です。誰もがWebでの集客に参入し、アルゴリズムの最適化を競った結果、広告費は高騰し、市場はコモディティ化による価格競争へと突き進んでいます。

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ロングテール戦略はゴジラだ

「ロングテール」とは?EC売上を伸ばす秘訣!

「売れ筋商品を揃えているのに、なぜか手元に利益が残らない」——。これは多くのEC事業者が陥る、典型的な戦略的パラドックスです。アクセスは稼げている、受注も入っている。しかし、その実態は激しい価格競争に摩耗し、薄利多売のループから抜け出せない状態に陥ってはいないでしょうか。

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広告的訴求にはイメージ型とレスポンス型が存在する

イメージ広告 vs レスポンス広告:究極の選択

「広告を出しても期待したほど売れない」「商品は売れるが、ブランドとしての認知が積み上がらない」——マーケティングの現場では、常にこのようなジレンマがつきまといます。実は、広告には大きく分けて「イメージ型」と「レスポンス型」の2種類が存在し、これらをどう組み合わせるかが成否を分けます。

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購入者の100人に1人しかレビューを書かない

レビュー活用術!顧客集客と販促の秘訣

Eコマース事業者は、ブログで高熱量な層を抽出し、1%の壁をインセンティブで突破してレビューを蓄積すべきだ。類似属性の声を重視する顧客心理を突き、モールやGoogleマップを戦略的に使い分けることで、後発が追随不能な信頼資産を築き、専門品領域での成約率を劇的に向上させる。

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顕在ニーズと潜在ニーズの違いを解説

顧客ニーズを掘り起こす!購買意欲を高める戦略

Webマーケティングにおける「顕在ニーズ」と「潜在ニーズ」の2大分類と活用法を解説します
。今すぐ客の獲得だけに頼ると陥る「値下げ合戦」のリスクを回避し、まだ商品を知らない顧客の購買意欲を正しく掘り起こす戦略的アプローチを明かします

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ボンセレ代表 伊藤祐介

講師紹介

株式会社ボンセレ 代表取締役
伊藤 祐介(いとう ゆうすけ)

 

❖ プロフィール

東京出身の“氷河期世代”。
身長182cm、見た目は大きめ、中身は細かめ。

公務員からスタートし、フレンチレストラン、築地魚河岸、ワインショップなど、業種も業界も超えて現場を経験。のちに広告代理店、EC支援、WEB制作へと軸足を移し、現在は複数企業のWEB戦略を支援。実務と現場視点に根ざした教育者です。


❖ 専門領域

  • WEBマーケティング/EC戦略立案

  • コンテンツ企画・制作

  • 広告運用(SNS/検索)

  • 顧客接点の設計とCRM支援


❖ 教育観・講義スタンス

「右腕は、育てることができる」。
人は“経験”だけでは変わりません。
変化するのは、思考のプロセスを鍛えたとき。

私は現場から、企画・広告・制作・接客・分析まで、すべての工程を実践してきました。だからこそ、「考えて動ける右腕」を育てるには、手を動かし、振り返り、問い直す場が必要だと考えています。


❖ 右腕育成にかける思い

「社長の想いを言語化し、現場に翻訳する存在」が右腕です。
単なるWEB人材ではなく、“経営を理解し、支える人材”を育てたい。
ひとつの強みを見つけ、自分にしかできない貢献の形を築く――
それが、このプログラムのゴールです。


❖ 私のルーツ

  • 仮説実験授業(板倉聖宣 提唱)
     科学的な思考法とディスカッションベースの学びに影響を受ける。

  • プログラミングとの出会い
     高校時代にBasicからスタート。VBAでの業務改善からWEB制作へ。


❖ 好きなこと

食べること・飲むこと・考えること。
最近のブームは激辛料理(ブートジョロキア)