
STP(エスティーピー/Segmentation, Targeting, Positioning)とは?
市場を分類し(Segmentation)、狙う顧客を決め(Targeting)、
自社の立ち位置を明確にする(Positioning)ためのマーケティング戦略フレームワーク。
この用語について再考しよう
STPは「セグメンテーション(市場分割)」「ターゲティング(狙う市場の選定)」「ポジショニング(立ち位置の明確化)」を整理するマーケティングの基本フレームです。
しかし現在は、SNSやAIによって情報発信のコストが下がった反面、「誰に向けているのか分からない発信」が急増しています。
特に中小企業では、「とりあえず全部取りに行く」という状態になりやすく、結果として価格競争や発信疲れを起こしているケースも少なくありません。
以前は、広告費や媒体枠の制約によって自然とターゲットが絞られていました。
しかし今は、誰でも発信できる時代だからこそ、「誰に向けて、誰を捨てるか」を決める力が重要になっています。
STPは古い理論ではなく、情報過多時代において“迷子にならないための地図”として再評価されつつあります。
こんな人に読んでほしい
・SNSやブログを更新しているが、誰に向けた発信なのか曖昧になっている経営者・担当者
・「幅広く対応できます」を強みにしているが、結果として価格競争に巻き込まれている方
・AIで大量にコンテンツを作れるようになったが、発信の軸や方向性を見失っている方
概要/目的
STPは「売り方」ではなく、誰にどう価値を届けるかを決める上流設計である。
- マーケティング
- 市場を細分化し、最適な顧客層を選定
- 自社の強みが最も活きるポジションを確立
- eコマース
- 商品ごとにターゲットを明確化
- 価格・訴求・商品構成の一貫性を作る
- SEO
- 検索意図ごとにターゲットを分けてコンテンツ設計
- 「誰のどんな悩みか」を明確にする
3つの要素
- Segmentation(セグメンテーション)
- 市場を分類する(例:年齢、地域、価値観など)
- Targeting(ターゲティング)
- 狙う顧客層を決める
- Positioning(ポジショニング)
- 競合との違いを明確にする(選ばれる理由)
重要な流れ
Segmentation → Targeting → Positioning
※順序を逆にすると戦略が崩れる
似た用語
- 4P
- 定義:商品・価格・流通・販促の設計フレーム
- 用途:具体的な施策設計
- 考え方:STPの後に実行される
- 注意点:順序を逆にすると失敗する
- ペルソナ
- 定義:具体的な顧客像
- 用途:施策の具体化
- 考え方:ターゲットを詳細化したもの
- 注意点:作り込みすぎると実態とズレる
- セグメンテーション
- 定義:市場を分類する行為
- 用途:ターゲット選定の前提
- 考え方:STPの一部
- 注意点:分類だけで終わるケースが多い
- ポジショニングマップ
- 定義:競合との位置関係を可視化
- 用途:差別化の整理
- 考え方:知覚マップで認識を整理
- 注意点:実態と乖離しやすい
使用上の注意点・よくあるミス
- セグメントを広く取りすぎる
- ターゲットを欲張りすぎる(誰にも刺さらない)
- ポジショニングが曖昧
- デモグラだけで判断する
- 実データや顧客理解が不足している
- STPを作って満足し、施策に落ちていない
- 競合視点が抜けている
関連する用語
- 上位概念
マーケティング戦略/市場分析 - 関連用語
4P/セグメンテーション/ターゲティング/ポジショニング/ペルソナ
サイコグラフィック/デモグラフィック/競合分析/差別化/コンセプト設計
講師伊藤の視点
中小企業のマーケティング戦略において、STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)は最も重要な基盤です。EC店長、ネットコンサルタント、マーケティング講師としての経験から申し上げると、多くの企業がこの基本を避けて通ろうとしますが、それでは真の成功は望めません。属人的な営業に依存するのではなく、マーケティングを仕組み化することで持続的な成長が可能になります。「みんなに好かれる」戦略ではなく、特定のターゲットに深く刺さる価値提案を追求することが重要です。WEB担当者の皆様、集客の内製化を目指す中小企業幹部の皆様、STPへの取り組みは困難ですが、その努力は必ず大きなリターンとなって返ってきます。
サロンで出た質問や反応
エピソード① セグメントの常識が、もう通用しない
「今、めっちゃ悩んでいるところです」——小売業の参加者がそう声を上げた瞬間、場の空気が動いた。伊藤が「90年代までは性別や年代で区切れば通用したが、今はニーズが多様化しすぎて、同じ切り口では商売にならない」と話し始めたときのことだ。周りを見渡すと、うなずきながら手元のメモに何かを書き落としている参加者が何人もいた。違う切り分けを見つけることが、現代のSTP分析の出発点だ。
エピソード② 羊羹は、斜めに切れ
「羊羹を斜めに切ると、5番目が一番美味しい」——伊藤がそう言った瞬間、ある参加者が「びっくりした感じです」と思わず声を漏らした。市場を縦に切るか、横に切るか、それとも斜めに切るか。切り方次第で、まったく別の顧客層が見えてくる。STP理論とは、その”切り角”を自分の事業に合わせて設計することだと、その場にいた全員が腑に落ちた瞬間だった。
エピソード③ 1人に絞る勇気が、全体を決める
「200行くらいでターゲットについて書いてみればいいですか」と参加者が確認を求めた。伊藤の返答はシンプルだった。「理想のユーザーを1人だけ決めれば、色味もデザインも自然に決まる」。絞り込むことへの迷いは、多くの経営者が抱える共通の不安だ。その1人を明確にする勇気が、ブランド全体の一貫性を生む。室内がしんと静まり、それぞれが自分事として考え込んでいた。
エピソード④ 実在の顔から、設計は始まる
「作ってくるので、見てください」——参加者がそう言い切ったとき、場に小さな安堵が流れた。伊藤は「実際に来店した数人を頭の中で合体させて、1人の人物像をイメージすればいい」と伝えていた。架空でも統計でもなく、実在の顔からペルソナを作る。その具体性こそが、設計に迷ったときの地図になる。作業の方針が定まり、次回への宿題が静かに動き出した。
よくある質問
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質問: STPとは何ですか?回答: STPとは「Segmentation(市場細分化)・Targeting(ターゲット設定)・Positioning(ポジショニング)」の頭文字を取ったマーケティング戦略の基本フレームワークです。どの市場に、誰に、どのような価値で提供するかを整理します。
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質問: STPはどのような場面で使われますか?回答: 新規事業の立ち上げや商品開発、ブランド戦略の設計で使われます。市場を分析し、自社が勝てる領域を見極めるために活用されます。
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質問: STPと4Pの違いは何ですか?回答: STPは「誰に何を提供するか」を決める上流設計で、4Pは「どうやって提供するか」を具体化する実行設計です。通常はSTPで方向性を決めた後に4Pを設計します。
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質問: STPで重要なポイントは何ですか?回答: ターゲットを絞ることと、競合と差別化されたポジションを明確にすることです。広く狙いすぎるとメッセージが弱くなり、結果的に誰にも刺さらなくなります。
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質問: STPを活用する際の注意点は何ですか?回答: 市場の切り方(セグメンテーション)が曖昧だと全体が機能しません。また、理想のターゲットではなく、実際に購買可能な層を見極めることが重要です。

